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立ち直りかけた鳥貴族、再び危機的状況に転落…新業態立ち上げ&海外進出計画に暗雲

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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鳥貴族の店舗(「Wikipedia」より)

 鳥貴族が“コロナショック”で岐路に立たされている。多くの外食店が大打撃を受けたが、鳥貴族はより深刻だ。同チェーンのコロナ禍での既存店売上高は、3月が前年同月比16.1%減、4月が96.1%減、5月が87.9%減と、大きく落ち込んでいる。今後は上向くだろうが、コロナ前の水準まで戻るのには相当時間がかかりそうだ。居酒屋業態はコロナ後も特に厳しい状況が続くとみられ、鳥貴族の視界は不良だ。

 鳥貴族は厳しい状況に置かれているが、コロナ前は好調で業績のV字回復を狙うところまできていた。2017年10月に実施した値上げや自社競合で客離れが起き、既存店売上高が18年1月~19年10月まで22カ月連続で前年を下回っていたが、19年11月以降は前年を上回るようになった。今年2月までの4カ月間はすべてプラスだ。

 それは、打ち出した施策が功を奏したからだ。不採算店の閉鎖を進めて自社競合の解消を図ったほか、メニュー強化やキャンペーンの実施で集客を図り、既存店業績の向上につながった。V字回復も視野に入ってきていた。

 だが、新型コロナがそれを阻んだ。外出自粛で客足が減ったほか、4月上旬から直営店全店の394店とフランチャイズ加盟店の246店を休業したことが響き、大幅減収となった。5月中旬から順次再開したが、客足は完全には戻っていない。新型コロナで外食を控える人が増えたが、それに加えて夜にお酒を飲む人が大きく減ったため、居酒屋は他の業態以上に厳しい状況にある。

 新型コロナは鳥貴族の問題点を浮き彫りにもした。同社はこれまで、焼き鳥居酒屋「鳥貴族」だけを展開する「一本足打法」を進めてきた。経営資源を鳥貴族だけに集中投下できるので、より強いブランドをつくることができる。実際、鳥貴族は全国に600店超をも展開する有力ブランドに育ったが、これは一本足打法だからこそ実現できた面が多分にある。

 だが、これは大きな問題をはらんでいる。それは、リスク分散にならないので、一本足打法の一本が倒れてしまえば、会社も一緒に倒れてしまう危険性が高い。投資の世界では「卵はひとつのカゴに盛るな」という格言で戒めているが、これは経営の世界にも当てはまる話だ。鳥貴族はこれまで、一本足打法というかたちで卵をひとつのカゴに盛ってきたが、新型コロナがそのカゴを直撃して、ほとんどの卵を落として割ってしまったのだ。もし新型コロナに強い他の業態を確立するなどカゴを複数用意していたならば、落とした卵は少なく済んでいただろう。

 鳥貴族はコロナ禍において一本足打法がアダとなった。それが影響し、6月5日発表の19年8月~20年4月期決算(単独)は厳しいものとなった。売上高は前年同期比14.9%減の230億円と大幅減収で、最終損益は1億5300万円の赤字(前年同期は3億1000万円の黒字)に転落した。新型コロナを受けた店舗の休業が響き減収になったほか、休業中に発生した人件費や地代家賃などの固定費を特別損失として12億円計上したことが響き、最終損益が大きく悪化した。

 業績悪化で今後の資金繰りが危ぶまれたが、同社は6月下旬に、複数の金融機関と40億円の借り入れ及び40億円のコミットメントライン(融資枠)の契約を結ぶことを発表しており、対策に乗りだしてはいる。これにより当面の資金繰りは問題なさそうだ。

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