「さすが官庁の中の官庁のドン。普通の大企業でも、社会的に“おしまい”になる案件だったのに、しぶとさはさすがですよね」
政府系金融機関の幹部がそう評するのは、テレビ朝日記者に対するセクハラ発言に伴い2年前に財務省を退官した福田淳一元財務事務次官(60)のことだ。そんな福田氏はSBIホールディングスが運営する通信制学校「SBI大学院大学」(北尾吉孝学長)の教員を務めていることがわかった。
セクハラ発言が世間を震撼
「●●触っていい?」
「予算通ったら、浮気するか」
「週刊新潮」(新潮社)が2018年に明らかにした福田氏による女性記者へのセクハラ発言や行動の数々は世間を震撼させた。その後、財務省も省内の調査でセクハラを認定。福田氏の姿は日本経済の表舞台から完全に姿を消したかに思われていた。ところが今月までに、SBI大学院の教員ホームページにひょっこりとその姿を現していたのだ。肩書きは委託講師。教鞭を取る科目は「経済政策の理論と実際」「財政と社会保障の理論と実際」とある。
「失職して教員は政界・官界ではよくあること」
自民党関係者は次のように話す。
「福田さんは東大在学中に司法試験に合格していましたから、『退官後は弁護士業をやるだろう』というのが党内の見立てでした。麻生(太郎)副総理兼財務相は、かなり福田さんを目にかけていたこともあってか、官邸は『次官を辞任して禊ぎが済んだのなら、悪いようにならないように』と考えていたようです。
ただ想像以上に世論の声が厳しく、難しかったようですね。SBIの北尾吉孝社長は、前職の野村證券時代から続く財務省とのパイプがあるようです。SBI大学院には福田氏以外にも元財務省幹部が名前を連ねていますよ。
例えば選挙で落選した先生に、再起までどこかの大学の講師をお願いするのは政界ではよくあることです。官界でもおなじでしょう。萩生田光一文科相も2009年の衆院選で落選し、千葉科学大で客員教授をされていましたよね。福田さんが講師として、月どれくらいもらっているのかはわかりませんが、そんなに高くはないのではないでしょうか」
つまり、この後にもどこかの筋が福田氏に仕事を斡旋する可能性があるということだろうか。福田氏が本当に反省し、これまでの知識や経験を日本経済のために役立ててくれることを祈るばかりだ。
(文=編集部)