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木村誠「20年代、大学新時代」

地方国立大学の逆襲…文科省が国立大定員増に方針転換、東京の私大進学者が格段に多い現実

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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文部科学省が入居する霞が関コモンゲート東館(中央合同庁舎第7号館)(「Wikipedia」より)

 文部科学省は5月下旬に、戦後大学政策の大きな転換になる方針を、地味だが表明した。国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議(第4回)において、地方国立大学の収容定員を見直す資料を提出したのだ。「国立大学の収容定員の柔軟化について」というテーマである。

 現在まで、国立大学については、18歳人口の減少を背景に収容定員の総数を増加させない方針を採ってきた。この方針を変更すべく、動き出したのだ。

 表向きは、社会のニーズや産業構造の変化に対応した新たな分野の教育研究・人材育成の期待が国立大学に高まっている、ということだ。それには、スピーディーな教育研究組織の改編や整備が必要になってくる。その場合、国立大学の定員増が要求されることもあるだろう、というのである。

 しかし、新分野に対応した大学の再編はいつの時代にも必要であり、何を今さら定員増への方針転換が必要なのか、いまいちわからない。

東京一極集中の抑制と若者の地方回帰という狙い

 その資料の中に、比較的はっきりと、定員の見直しの真の政策意図を明確に打ち出している部分がある。東京における大学の新増設の抑制および若者の地方転入の促進である。

 図表でわかるように、大学進学において東京は流入が全国でずば抜けて多く、そのほとんどが私立大学である。その点、流出では、近畿や愛知を除いた地方にわたっている。流出上位5県は相対的に大都市に近く、私大進学者の比率が高い。この表からも、東京一極集中のひとつの要素が東京の私大進学者の多さであることは否定できない。

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 そこで、今後10年間、大学生の集中が進む東京 23 区においては、大学の定員増は認めないことを原則とした。近年、東京一極集中の抑制を目的に、私大の定員抑制と、入学定員超過の東京の私大に対して私学補助金の支給停止などのペナルティーを課してきた。

 ところが、入学者の定員大幅超過を避けるための合格者絞り込みによって、東京の私大の実質競争率が軒並みアップした。それに対して、受験生はどう動いたのか?

 この1、2年の東京の私大入試の動向を見ると、同じ首都圏にある私大への併願を増やす受験生が多くなった。そのため、定員割れスレスレだった中堅私大下位校の志願状況が好転したのである。結果的に言えば、東京への集中の鈍化と地方への回帰は期待したようには起きておらず、私大受験生の首都圏エリアの併願校数が増加しただけなのだ。

 もちろん文科省も、全国大学の志願状況から、地方振興につながる若者の地方への流れは期待ほど起きていない、という分析をしたはずだ。そこで次に、地元受験生のみならず都市圏などの受験生にも根強い人気がある、学費の安い地方国立大学の収容定員を増やす、という方針転換を目指したのであろう。それによって進学の受け皿を拡大すれば、地方への若者流入や定着が期待できるというわけである。

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