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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

菅義偉政権、地銀再編の“実働部隊”SBIに地銀が恐々「生き血をすする吸血鬼のよう」

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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菅義偉官房長官のインスタグラムより

 菅義偉官房長官の次期首相就任が確実視されるなか、携帯電話大手と並んで「標的」に名指しされた地方銀行は戦々恐々としている。菅氏はこれまでも地銀再編に意欲的に取り組んできたが、その流れが加速するのは必至。その実働部隊である北尾吉孝氏率いるSBIホールディングス(HD)に対して、地銀関係者からは「まるで生き血をすする吸血鬼のような集団」との批判も上がる。

菅氏「地銀の数が多すぎる」

 菅官房長官は自民党総裁選への出馬を表明した2日の記者会見で、全国の地銀について「将来的には数が多すぎる」と再編への意欲を示した。菅氏は地銀再編に権限のある金融庁への影響力は強い。金融庁長官に「再編の急先鋒」である森信親氏を2015年に起用し、通常2年の任期を延長し異例の3年務めさせた経緯がある。森氏の退官後も金融庁全体の方針としては地銀再編を進める大方針は変わっておらず、今年5月に成立した地銀の経営統合や合併を独占禁止法の適用除外とする特例法も制定され、年内に実施される方針だ。

 役所を押さえて法規制を握った菅氏が、白羽の矢を立てたのがSBIHDだ。同社の北尾社長は地銀に出資する「地銀連合構想」をぶち上げ、昨年9月に島根銀行と資本提携した後、福島銀行、筑豊銀行、清水銀行とたて続けに地銀と提携している。9月2日に都内で開かれた講演会ではこれら4行を含めた最大10行を構想の対象にしていると発表。残る6行のうち約半数にめどを付けたことも話した。

SBIHDの出資は「営業経費」

 全国の地銀はアベノミクスによる異次元の⾦融緩和の下、日銀のマイナス金利により窮乏にあえいでいる。菅氏は金融緩和を続行する方針を明らかにしており、この状況は当面変わりそうにない。そのなかで、提携先の地銀には人材やシステムを提供し、経営強化を後押しするという北尾氏の話は一見「地銀再生の救世主」のように見える。ただ、金融関係者の間では「SBIHDが政権とひっついて地銀を食い物にしたいだけ」との見方が強い。

 まず、SBIHDの合計出資額だが、島根銀に25億円、福島銀に約11億円、筑邦銀に約4億円、清水銀に約6億円と約46億円だ。SBIHDの今年度の第1四半期決算短信によると、今年6月末時点のキャッシュは7823億円もあるため、全体からすれば 微々たるものだ。

 大手証券アナリストはこう話す。

「たかだか50億円程度の出資で、地銀に自社のシステムを入れさせて今後継続的に使用料をとれるのだから割安の『営業経費』だ。自社の金融商品も地銀の営業マンに売らせることも考えると、人件費なしで地方の営業部隊を獲得したようなもの。万が一の際でも、地銀が持つ駅前の不動産の再開発などで株価を上げて売り抜ければ簡単にペイすることができるため、SBIHDにとっては魅力的だろう。ダメな地銀を一から立て直すのは割に合わないが、菅氏が再編圧力を掛けた地銀にコンサル的にアプローチするのは効率がいい」

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