
ニュースサイトAERAdot.(アエラドット・朝日新聞出版)が10日に公開した記事『菅氏が菅氏に提言 「総理で一番大事なことを教えます」(菅直人)』に対し、インターネット上で「どの口が言うのか」などと批判が殺到している。
この日、立憲民主党や国民民主党などが合流してつくる新党の代表選の投開票が行われ、立憲民主党の枝野幸男代表が、国民民主党の泉健太政調会長を破り、初代代表に選出された。新党の名称は枝野氏が提案していた「立憲民主党」に決まり、再出発を祝う「ハレの日」でもあったため、立憲民主党関係者からは「過去のマイナスイメージを体現する菅直人さんは頼むからもう出しゃばらないでほしいのに……」との恨み言も聞かれた。
福島第一原発事故時の「命をかけろ」発言を自画自賛
同記事は安倍晋三首相の後任を決める自民党総裁選に触れ、菅義偉官房長官が注目を浴びている点を指摘。そのうえで「中国では『菅直人内閣復活か?』と混同する市民がいるとも伝えられる。名字の漢字が同じという縁がある2人だが、首相の“先輩”として立憲民主党最高顧問の菅(カン)氏は菅(スガ)氏に何を思うのか。話を聞いた」と企画の主旨を説明し、一問一答形式のインタビュー記事に仕立てた。
中でも注目されたのは、次のようなやり取りだ。
「――菅(カン)さんの首相在任時に起こった東日本大震災、福島第一原発事故と、現在起こっている新型コロナウイルスの感染拡大は、国家の危機という点では共通しています。国家の危機におけるリーダーの役割とは何でしょうか。
危機事態における総理大臣と官房長官の役目は、専門家の意見を聞きながら、実態はどうなっているのかを正確に把握し、どう対策を打つかを『判断』することです。安倍さんと菅さんは感染症の専門家ではないですし、私も原発の専門家ではありません。だから、まずは専門家の話をちゃんと聞く必要があります。ただ、そのうえで、何を最優先にすべきかという最終的判断は、総理がするしかないのです。
(中略)
私にとって一番の危機は、2011年の3月15日でした。東電の清水正孝社長(当時)が『残っている職員をイチエフから撤退させたい』と言ってきたが、それをされてしまうと、福島第一原発の6基が全くの手つかずになり、放射能がどんどん漏れてしまうことになる。『ここはとにかく命をかけてでもやってもらいたい』。私は東電の社長だけではなく、多くの職員がいる前でそう言いました」