国民民主党の分党で確実にもめる“カネ事情”…立憲民主党との“内ゲバ”はいつまで続くのか？

　国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

　暑い日が続いていますね。それでなくても新型コロナの感染拡大は収まらないし、コロナの症状と熱中症の初期症状が似ていることもあって、医療現場では混乱が増しているようです。まだしばらくこんな状況だと思いますので、感染と熱中症の予防はしっかりしていきましょう。

安倍首相は年内の解散総選挙をあきらめるべき

　さて、相変わらず体調不良説が広まっている安倍晋三首相ですが、映像で確認する限り、確かに以前より痩せているように見えますよね。まぁ、これだけ世間からのバッシングがあれば精神的にまいっていてもおかしくないでしょう。若い世代からも「あれだけ悪口を言われたら、病気にもなるよね」という声が聞かれます。

　一部のネットニュースなどでは、安倍首相がまだ年内解散総選挙をあきらめていないような報道をしているようですが、どうでしょうか。安倍首相自身は「中央公論」（中央公論新社）9月号で「解散は頭の片隅にもない」と答えています。

　7月末には菅義偉官房長官が、8月に入ってからは自民党の下村博文選挙対策委員長が、コロナを理由に秋の総選挙は難しいとメディアで発言していますが、コロナが年内で収まる保証がない以上、年内の総選挙も無理だと思います。

　いくら解散は首相の専権事項といっても、安倍首相の判断だけでは行えない事情もあります。もう、きっぱりと解散総選挙はあきらめて、目の前の危機に向き合ってほしいと思います。

　与党内にも冷静に状況を観察できる議員はたくさんいて、若手議員からは臨時国会の早期召集の要望も出ているようです。神澤も、早く臨時国会でコロナ対策を議論すればいいと思います。

国民民主党の分党は無理？

　そんな中、立憲民主党との合流をめぐって「国民民主党が分党か！」という情報が8月11日夕方に永田町を飛び交いました。同日に行われた記者会見で国民民主党の玉木雄一郎代表が分党を表明したことが発端でしたが、翌日にはすでに「やっぱり分党は無理じゃない？」「分裂ならわかるけど」といった声が多くなっていました。

　なぜかというと、政党助成法上の「分党」とは、いったん解散して複数の政党に分かれることですが、そうなると政党交付金の配分をめぐってもめる可能性が濃厚だからです。一方、分裂（分派）の場合は、離党した議員に政党交付金は支給されません。

　民主党から民進党へと分党してきた流れから、国民民主党には民主党時代のお金が眠っています。これについては前にももめたことがあって、2017年10月の総選挙後に立憲民主党が国民民主党に、その一部のお金を配分するように求めたこともありました。

　それにしても、もともとはみんな民主党の関係者です。いつまで内輪もめを続けるのでしょうか。自民党政権が強いのは、こうした野党の問題もあると思いますよ。

　立憲民主党と合流しない国民民主党の議員たちは、日本維新の会への合流を考えているという話もあります。確かに、京都が選挙区の前原誠司衆議院議員あたりは、維新と協力した方が有利になるかもしれませんね。自分たちの選挙事情だけで政党を決めるのは本当に許せませんが、選挙に勝たないと国会議員として活動を続けられないことも事実です。

　結局、最後は実力よりも運次第という部分も多いのが現実でもあります。永田町では「運も実力のうち」という言葉をよく耳にします。ちょっと情けない話ですよね。

河井克行議員の元秘書、長すぎる勾留から保釈

　8月11日は、河井克行衆議院議員の元政策秘書の高谷真介さんがようやく保釈されたことも報じられました。

　3月3日の逮捕からずっと勾留されていたので、とても心配していました。人を殺したわけでもないのに半年近く勾留されるって、ひどくないですか？　ボスの逮捕が自分の身に直結する私たち国会議員秘書にとって、高谷さんの逮捕は他人事ではないのです。

　以前も書きましたが、高谷さんは人望が厚く、ご家族もいるので、秘書仲間たちがずっと支援していました。釈放されて、ご家族とも会えて、どんなにホッとされたことでしょう。

　逮捕によって解職されてしまった高谷さんに、秘書仲間たちはカンパを募って拘置所に届けたそうで、奥様から丁寧なお礼状が届いたとか。大変な状況なのに、「なんて素敵なしっかりした奥様なんだろう」と話題になりました。

　高谷さんは公判で河井議員との共謀を否定しているようですが、「親分の罪を秘書がかぶる」という“永田町の常識”にとらわれず、堂々と身の潔白を主張し続けてほしいと思います。

　これからも、高谷さんには世間からのバッシングや河井サイドの圧力もあるかと思いますが、みんなで応援したいと思います。