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垣田達哉「もうダマされない」

GoToイート・東京、超高倍率で大混乱?抽選で引換券入手しても購入できるとは限らない

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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Go To Eat Tokyo 食事券発行共同事業体公式サイト」より

 10日、Go To イート食事券を販売する東京事務局は、その販売方法を急きょ変更すると発表した。大きく変わった点は、すべて先着順だったものが、一部を除いて抽選方式にすることだ。前回の記事で攻略法を紹介したが、抽選方式に変わっても攻略法に大きな変化はない。ただし、モチベーション(やる気、動機)の違いはあるので、何が変わったのかを紹介する。

 東京の場合、300万セット販売される紙の食事券は、事前申し込みが必要で、その方法は「スマホ等の端末携帯」か「専用葉書」であることに変わりはない。今までは、いずれも先着順だったが、専用葉書の場合は抽選方式に変更された。

 先着順が抽選になったからといって、攻略法に変更はない。どこの配布場所に、いつ何枚配布されるのか、何日間にわたって配布されるのかは未定のままだが、抽選方式になったということは、配布枚数は当然多くなるはずだ。

 例えば、販売枚数の300万セットのうち、専用葉書の当選分が半分の150万セットとすると、配布枚数がその数倍では足りないだろう。少なくとも数十倍(1500万枚以上)か、それ以上の申込葉書を配布しなければ、抽選にした意味がない。

 抽選にするということは、不公平感をなくすことであり「抽選葉書すら手に入れることができなかった」となれば、消費者の不満は爆発するかもしれない。配布枚数が多くなるということは、行列が長くなるということだ。

 しかも、応募葉書は到着次第順次抽選するという。それは、何日分かをまとめて抽選するのか、毎日抽選するのかはわからないが、応募葉書を送るのが遅くなれば、抽選が終了している可能性もある。1人1枚になるだろうが、もし行列が短いようであれば、再度並んでさらに1枚確保したほうが良い。おそらく、どの配布場所も長蛇の行列ができるだろうから、家族や仲間(友人や知人等)を総動員して、配布場所も手分けして行列に早く並ぶしかない。

引換券を獲得しても購入できない?

 さらに、筆者が事務局に問合せて確認したのだが、驚愕する事実がわかった。先着順のスマホも抽選の専用葉書も、たとえ引換券を獲得したとしても、それは単に「購入する権利を得ることができただけで、購入できるとは限らない」というのだ。なぜかというと、販売所で販売される食事券の枚数は決まっている(枚数は現在は非公表)ので、販売所に並んで購入しようとしても、予定していた枚数が販売されれば、その販売所での販売は終了するという。

 スマホの場合、11月19日から申込がスタートする。先着順なので抽選はないが、運よくサイトにつながって引換券を獲得できたとしても、翌日、販売所食事券を購入しようとしても、その販売所での販売枚数がなくなれば、購入することができない。どの販売所も長蛇の行列ができる可能性があるので、購入できなかったからといって他の販売所に向かっても、その販売所でも売り切れている可能性が高い。つまり、引換券を獲得しても購入できるとは限らないということだ。

 一方、専用葉書の場合は抽選になる。当選葉書(引換券)は、応募後1~2週間後に届く。それから販売所に出向いて購入することになる。当然、スマホとは別に、専用葉書分の食事券は用意されているはずだが、これも販売所での販売枚数がなくなれば購入することができない。しかし、専用葉書の抽選の場合、引換券の到着の早い遅いが生じるので、それをどのように考慮するのかは、今のところわからない。

 他の都府県の場合は、引換券(引換票番号)さえ手に入れれば、期限内に購入すればよいのだが、東京の場合は「引換券はあくまで購入する権利を得たにすぎない」ので、結局「早い者勝ち」になる。

 これは大問題である。11月20日過ぎから、食事券を求めて消費者は「一刻も早く販売所に出向かなければならず」、そこで購入できないとなれば、購入できる販売所を探すのに「右往左往しなければならない」のだ。

デジタル食事券もどうなるかわからない

 デジタルの食事券も抽選方式に変わったが、攻略法に変化はない。抽選方式なので、先着順よりは慌てて申込む必要はないように思えるが、当然、申込は殺到するので、決められた申込件数内(あるいは時間内)にサイトにつながらなければ、抽選される資格さえ得ることができない。抽選に変わっても、いかにサイトにつながるかが勝負だ。できるだけ多くの端末で、チャレンジする体制を整えるしかない。

 デジタルの食事券は、125万セットがすべて抽選になった。第1次の抽選は、今月20日~24日の予定。その後、何回申込抽選が行われるかは未定なので、第1次からすべて申込んだほうが良い。申込期間が5日間あるが、のんびりしているとサイトにつながらないし、申込件数がいっぱいになれば5日目を待たずに申込終了となる可能性が高い。20日でもサイトにつながらないことが想定されるので、とにかく「申込の受け付け」だけは確保するべきだ。抽選なので、同一人物は除外されるだろうから、できるだけ多くの端末から申込む用意をしておくべきだ。

 デジタル食事券も抽選なので、当選しても「購入する権利を得た」だけにすぎない。ただし、販売数は125万セットと決まっているので、それ以上当選メールを送ることはないはずだ。念のため、当選メールが届いたらすぐに購入したほうが良いだろう。いずれにしても、1回2セット申込めるので、当選者は62万5000人より少し多い程度だろう。考えられない倍率になる可能性がある。

多数のクレーム発生の懸念も

 それにしても大胆な変更をするものだ。なぜ変更しなければならなかったかというと、先行してウェブ申込での販売が実施された大阪、京都、兵庫、愛知等では、希望者が殺到して「サイトがつながらなかった」「不公平だ」「ウェブは使えない」というクレームが非常に多かった。そこで、京都と愛知、兵庫では、不公平感をなくすために、ウェブも葉書も最終販売時には、先着順から抽選に変更せざるを得なかったのだ。

 東京も、同じように、いやそれ以上にクレームが多くなる可能性が高いので、最初から抽選方式を取り入れたようだ。しかし、抽選といっても、もし数千万人から応募があった場合、どんな方法でするのだろうか。もちろん、同一人物の二重三重の申込は除外しなければならない。端末からの申込は、コンピュータで簡単にできるだろうが、葉書の抽選は機械でどの程度処理できるのだろう。同一人物を、はじくことはできるのだろうか。同姓同名ということもある。住所が同じでも、1世帯1葉書にしなければ、同じ住所で何十枚も応募ができる。現実的には1世帯で数枚も応募葉書が手に入らないとしても、可能性はあるのでその対策はできるのだろうか。

 さらに、2~3日でできるとは思えないが、偽造応募葉書を見分けることはできるのだろうか。食事券そのものの偽造は見分けることはある程度可能だが、葉書はできるのだろうか。

 そもそも、当初予定したよりも数倍の葉書を用意しなければならなくなった。今、ファミリーマートでは、紙の食事券の紙が用意できていないために、食事券が発行できないという状況に陥っている。予定していた枚数さえ用意できていない事務局が多数あるのに、急きょ抽選にした東京の事務局は、配布期日までに、いったい何百万枚の葉書が用意できるのだろう。

 サイトにしても、先着順であれば、その時点で終了ということになるが、抽選にする場合、1日当たりどれだけの件数を受け付けることができるのだろう。急きょ抽選にしたために、かえって準備不足で大混乱にならないか心配だ。

 一方、飲食店にしても、利用開始日の11月20日からは、食事券の利用客が殺到すると期待していたのではないだろうか。ところが、実際の利用開始日が遅くなる可能性が出てきた。紙の食事券の応募開始は19日、デジタルの食事券は20日から申込受付開始に変更はない。しかし、抽選をするにはそれなりの時間がかかる。しかも、数回に分けての申込になる。果たして、食事券はいつから利用できるのだろうか。遅くなればなるほど、11月末から12月の売上に期待していた飲食店は当てが外れた格好になる。

 筆者も今まで何度も指摘してきたが、そもそも販売枚数が少ない食事券だ。特に大都会になればなるほど需要は高い。最初から、もっと慎重に検討すべきだったが、今さら遅い。とにかく、混乱が起きないように、そして不公平にならないように、できるだけ多くの申込を受け付ける工夫をしてもらいたい。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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