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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

コロナ家庭内感染、一般の3倍…家庭内で食事時間分散、コップ・タオルは各自専用に

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授
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「Getty Images」より

家庭内感染」が流行語になっています。家庭内での新型コロナウイルス感染事例は、統計上も多く、また医療・介護の現場に身をおく私自身の経験でも明らかに増えていると感じます。

 最近は、あきらめにも似た発言が有識者から発せられるようになりました。確かに、ソーシャルディスタンス1.8メートルを家庭内で求めるのは困難です。幸い、この問題に科学的に取り組んだ研究が世界中にあり、最近、それらを厳選した上で総まとめした論文が米国の専門誌に掲載されました【注1】。

 家庭内感染のリスクは、「最初の感染者からうつされた人数/家族の総人数」で表すことができます。この論文によると、その平均値は16.4パーセントでした。意外に少ないようにも思えますが、社会一般のいわゆる濃厚接触で感染するとされる割合の3倍にも達する数字です。

 同じデータで、子供から大人に感染する割合がかなり小さく、大人→大人感染の6割くらい、という意外な事実もわかりました。夫婦間での感染がもっと多く、男性から女性に、あるいは女性から男性に感染する割合に大きな違いはありませんでした。

 感染しやすいかどうかは、症状も大いに関係しているはずです。容易に想像されるとおり、やはり咳をしている人からの感染が高率でした。ちなみに、これらの状況はインフルエンザの場合とほぼ同じです。

家庭内感染を防ぐ極意

 これらの新情報を踏まえ、家庭内感染が予防できるのかどうか考えてみることにします。参考になるのはインフルエンザです。人類との付き合いが長く、研究データも豊富だからです。

 私が信頼をおくのは、インフルエンザにかかった259人に協力を求め、それぞれの家族を対象に実施されたある実験のデータです【注2】。まず全家庭を「何も予防策をしない」「石鹸による手洗いだけをする」「手洗いとマスクをする」という3つのグループに、ランダムに分けました。1家族は平均4人です。

 1週間の追跡を行った結果は明快でした。3つのグループのうち、インフルエンザの家族感染が確認された割合は、手洗いとマスクを励行した家庭で明らかに少なく、何も予防策をしない家庭の4分の1ほどになっていたのです。予防策、つまり手洗いとマスク着用が4日以上遅れてしまった家庭では、その効果が認められなかったのですが、これもうなずける話です。

 もうひとつ参考になるデータがあります。日本では1962年から1987年までのおよそ四半世紀、学童を対象にしたインフルエンザ・ワクチンの集団接種が行われていました。その期間、国内で起こっていたのは、高齢者の肺炎死亡が激減していたという事実でした【注3】。

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