吉川元農相、司法取引か…鶏卵・贈収賄疑惑、特捜部案件なのに「逮捕者ゼロ」の怪の画像1
「吉川 貴盛 公式サイト」より

「特捜案件なのに逮捕者ゼロなんてありえない」。こうした考え方は、河井克行元法相夫妻の選挙違反事件や統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件など過去の例を振り返っても至極真っ当なことだが、吉川貴盛元農相の鶏卵汚職事件は、収賄側と贈賄側ともに在宅起訴に終わるという異例の展開になった。

 自ら議員のクビを差し出したことが、いわば司法取引だったのか。元農相は衆院議員を辞職、そして自民党をすでに離党し、もはや政権と関係ない人物を装っているのかもしれないが、同期当選の菅義偉首相とも極めて近く、政権運営への負の影響は避けられない。

 吉川元農相が在任中に大臣室で鶏卵生産会社から現金を受け取っていたかもしれないという噂が永田町周辺を駆け巡ったのは、昨年11月下旬ごろのこと。まるで映画のようで「信じられない」(与党議員)と衝撃をもって受け止められた。与党関係者によると、そのころから自民党会合に顔を見せなくなった。そうしたさなか、12月に入ると、元農相が現金を受領したとの疑いがあるという報道が過熱。東京地検特捜部はクリスマスに衆院議員会館や地元札幌市内の事務所を家宅捜索し、関係書類などを押収した。

司法取引か

 気になるのが、特捜部による任意聴取と議員辞職の妙なタイミングだ。元農相は、慢性心不全など「健康上の問題」を理由に議員を22日に辞めた。一方、特捜部が任意聴取したのは21日とされており、「何らかの司法取引があったのでは」(霞ヶ関関係者)との見方が広がり、この頃から身柄を拘束する逮捕ではなく、「在宅起訴」で決着するという空気に包まれた。

 結局、特捜部は今月15日、大臣在任中に大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺前代表から現金500万円を受領したとして、元農相を収賄罪で在宅起訴した。贈賄罪で秋田前代表も在宅起訴。両者とも金銭のやり取りは認めているとみられるが、元農相は賄賂性を否定しているという。

 元農相をめぐっては、心臓病の手術を受けて療養中の身であることや、議員辞職したことも考慮し、逮捕は見送った。特捜部の姿勢に対し「心臓にペースメーカーを埋め込めば逮捕しないという前例をつくった」(メディア関係者)という皮肉交じりの声も聞かれる。

 元農相は、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」の国際基準案への対応や日本政策金融公庫からの融資条件について、養鶏業界に有利になるよう便宜を図ってもらいたいという趣旨を知りながら、大臣室などで計3回にわたり計500万円を受け取ったとされる。

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