
3月23日、東京都議会の予算特別委員会で、不祥事が続出していた都立高校・学校図書館の民間委託を廃止する方針が正式に発表された。
民間委託されている128校のうち、2021年度末に満了する契約(86校)から順次終了。それらを直接雇用(会計年度任用)に切り替えていき、2023年度から、128校あった委託校はついにゼロとなる。受託業者からすれば、その瞬間に二十数億円の市場が露と消えることになる。
ありとあらゆる公務の民間委託が急速に進められているなか、なぜ”逆流”が実現したのか。
6月10日付記事『都ファ・米川都議に聞く…都立高校で横行、違法な民間委託の実態に単身で切り込む』に引き続き、”偽装請負”の問題を指摘し続けてきた都民ファーストの会所属の米川大二郎都議に、議会質問の影で繰り広げられていた当局との厳しい交渉の舞台裏を聞いた。
--昨年9月30日の一般質問によって、都立高校学校図書館の委託を見直す基本方針は内定したものの、その後は、なんの情報も出てこなくなり、かなり迷走しましたね。
米川大二郎都議 そうでしたね。僕も9月の時点で、いきなり委託を全廃することが難しいとわかっていました。そのため、ソフトランディングするには、まず今年3月31日で切れる分を切り替え、その後、契約が切れるごとに切り替えていく流れならいいかな、というつもりで待っていました。
ところが実際は、待てど暮らせど何もの対応がありませんでした。11月くらいに、各局から財務局に予算要求をあげるんです。それが全部一覧になって発表され、それを受けて都立高校の業務委託はどういう予算要求をしたのかを聞いたところ、10校だけ退職のところを直接雇用に切り替えるという話がありました。
--都教委は、この時点では一部非正規雇用を入れるだけでお茶を濁すつもりだったのでしょうか。
米川都議 それはわかりませんが、まず今年3月31日までに退職者が出る10校についてのみ、直接雇用で会計年度任用にするというのです。そこで「それはおかしいのではないのか」「あのとき、違法と認めたではないか」「それなのに10校しか対処しないのはおかしいだろう」と迫りました。すると、「私たちは違法だとは思っていません」と言ってきました。”違法ではない”という認識だから、10校だけだということです。
--それでは、また振り出しに戻ったような感じですね。
米川都議 そうですね。でも、僕は違法の可能性があるということを、きちんと指摘したはずです。そこを変えていく方向だと思っていたけれど、全然違ったのです。向こうは、「とにかく10校だけはちゃんとやりますから」と言うばかり。
--そうすると、今年度末に切れる契約も、また3年延長するという話なのでしょうか。128校ある委託契約は1校も減らさずに、新たに委託導入するつもりだったところを一部、非正規の直接雇用を入れるだけでお茶を濁すということになってしまいますね。
米川都議 それも見据えてのことなのでしょう。とにかく、要求としては、10校分しか会計年度の職員採用をみていないのでしょう。
--それが11月のことですか?
米川都議 そうです。そして12月議会のときには何もなくて、では3月の予算議会でやってやるか、という決意を再度固めることになりました。そのとき僕は、「もう都民ファーストにはいられなくなっちゃうかもしれないな」と思いながら。