
マンション、一戸建てにかかわらず、日当たりのいい南向きが一番高く、次いで東向き、西向きであり、北向きが一番安いというのがわが国の住宅の価格設定の常識でした。しかし、向きだけではなく、そこに何が見えるかも重要。特に、コロナ禍で在宅時間が長くなっている現在、眺望は価格決定に欠かせない要素のひとつになっています。
北向きなら南向きより15%程度価格が安いことも
地球の北半球に位置する日本では、太陽は南側に見え、住まいについても南向きの住まいの日当たりが良くなります。そのため、分譲地やマンションの値付けにおいても、方位がたいへん重要視されます。南向きで明るい住まいを期待できる物件ほど価格が高く、北向きの住まいは安くなるのが一般的です。
最近のマンションや分譲地の傾向をみてみると、概ね図表1のようになっています。南向きの住戸を基準として、東向きはそれより若干安く、それに次ぐのが西向きで、北向きが最も安くなります。南向きと北向きでは15%ほど差が付くことも珍しくありません。
ただ、敷地の広い分譲地であれば、北向きであっても建物を北側の道路に面して建てれば、南側に庭をとれて、日当たりの良いリビングなどを設置できるので、それほどの差がつかないこともあります。
日当たりを気にしなければ北向きはお買い得に
ですから、向きを気にしない人であれば、北向きの住まいはお買い得です。たとえば、シングルやディンクスで、ふだんはほとんど住まいにいないので、向きは気にしない、北向きでもいっこうにかまわないという人たちであれば、むしろ価格が安い分、お買い得ではないかということになります。
また超高層マンションなどで、窓が開かない、いわゆるはめ殺しの窓になっている場合、日当たりが良すぎると、夏の暑さはたいへんなものです。クーラーをガンガンかけなければならず、電気代がたいへんということもあります。そうした事情をわかっている人は、南向きをむしろ避けて購入するケースが多いともいわれています。
そうした若干の特殊事情はあるものの、マンションにもおいても、やはり価格は“南高北低”であることは変わりません。それは、超高層マンションにおいても基本的には同様です。