間もなく開会式まで1カ月を切る東京オリンピック(東京五輪)。21日には日本政府、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委)による5者会談が開かれ、五輪の観客数上限を会場の定員50%以内で最大1万人とすることを正式に決定した。仮に大会期間中に緊急事態宣言が発出された場合には、5者会談を開き「無観客開催」を協議し、決定するという。また全国の小中学生の招待は同制限とは別枠になった。
「キークライアントや大会関係者は運営者で観客ではない」
一方、チケットを持つ観客とは別に会場で競技を観戦するIOCやワールドアスレティックスなどの国際競技団体、スポンサーなどの関係者に関して、組織委は5者協議後の会見で以下のような見解を示した。
「大会関係者は運営関係者なので観客はない」「そうではないタイプ(運営者ではない)の人もいるので検討したい」
各社報道によれば、こうした”大会関係者”は1万人前後いるとみられ、今回制限されたチケット購入者と合計して2万人となる見込みだ。ちなみに同会見で明らかになった五輪チケットの販売総数は448万枚。これまでに払い戻しが84万枚あり、現時点で有効なチケットは364万枚。ここから開会式までに再抽選して91万枚を削減し、最終的に272万枚にするのだという。
「さすがに苦しい説明」
組織委の「キークライアントは運営者で観客ではない」との説明に五輪の下請け業務を担うある広告代理店社員は顔をしかめる。
「正直会見を見ていて、『それはさすがに苦しいのでは』と思いました。IOCや組織委は世論がどうなっているのか理解できているのでしょうか。
現時点での五輪に対する逆風を鑑みれば、そんな説明が通用するとは思えない。確かにスポンサーやIOCの関係者は“仕事”で五輪会場にいるケースが多いです。実際に関連イベントのプロモーションや大会運営に携わっている人間も多く、不適切に削減すれば大会の運営に支障が出る可能性は否定できません。
とはいえ、実際にチケットを購入した日本国民のお客さんの数を減らす方針を示しているわけですから、運営側も身を切る覚悟が必要だとは思いますよ。少なくとも、今はIOCやキークライアントが“観客かどうか”の定義の話をしていませんよね。
今はとにかく感染対策の徹底を世界中にアピールし、不安に思っている日本国民の皆さんに納得してもらうために全力を尽くすべきでしょう。少なくともIOCやコアクライアントがまるで“観客制限とは別枠”のような言い方は、逆にクライアントの評判を下げる行為にもつながりかねないと思うのですが……」
東京五輪をめぐり、“IOC関係者などの特権意識”が批判されて久しい。今回もまた、それが露見してしまったのだろうか。