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木下隆之「クルマ激辛定食」

VW・新型「ゴルフ」のスポーティ「Rライン」、これから始まる過激シリーズの序章でしかない?

文=木下隆之/レーシングドライバー
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VW「ゴルフ・Rライン」

 世界のベンチマークたるフォルクスワーゲン(VW)「ゴルフ」がフルモデルチェンジされた。45年の歴史を持つ長寿モデルであり、これまでのすべてのモデルはデビューするごとに世界の称賛を浴び、コンパクトモデルの理想型とされてきた。果たして8代目となる新型の評価はどうか。

 そんな新型には、2種類のエンジンが用意されている。ゴルフとしては初めて、すべて48Vジェネレーターが組み合わされたマイルドハイブリッド形式であり、直列3気筒1リッターターボと直列4気筒1.5リッターターボとの合体だ。

 今回紹介する「Rライン」は、1.5リッターエンジンを搭載、ラインナップのなかでは、もっともスポーティな仕様となる。

 さすがにパワーは力強い。48Vジェネレーターはわずか13psであり、発進直後の極低回転域でしか機能しないが、そもそも内燃機関は低回転域を苦手としており、しかも同様に低回転域を不得手とするターボとの相性はいい。初速が力強いものの高回転域を苦手とする電気パワーが、お互いのウイークポイントを補い合う。だから、わずか150psのハイブリッドから想像するより、はるかに伸びやかでフラットな出力特性を披露する。

 何にも増して感動的なのは、操縦フィールであろう。ローパワーで穏やかな仕様でさえ、驚くほど俊敏なフットワークを披露するのに、リアサスはトレーリングアームからマルチリンクに格上げされている。それによって限界域の安定性は際立ち、タイヤが225//45R17を誇っていることもあり、限界速度も高い。

 サスペンションは力負けしないレベルまで固めており、不快なロールもピッチングもない。ひとつの車型でふたつのサスペンション形式を備えるという贅沢が効果を発揮しているのである。

 新型になっても、いたずらにボディを肥大化していない点も歓迎できる。全長は4295mm、全幅1790mm、全高は1475mmであり、全長こそ30mmの拡大をみたが、幅は狭められ高さも低い。これまでのゴルフの伝統的な走りの源でもある。

 実は兄弟モデルのアウディ「A3」には直列4気筒2リッターターボモデルがあり、同様に48Vジェネレーターを組み合わせるから、近い将来そのパワーユニットが移植される可能性は高い。さらに兄弟モデルのアウディ「S3」は310psの強力なエンジンを積む。つまり、プラットフォームが共通する二卵性双生児の関係であるS3のエンジンを移植したモデルも水面下で開発されているであろうことから想像するに、のちにさらに過激なモデルが追加されるはずで、このRラインは現状ではもっともスポーティなモデルといえども、いずれ標準的なゴルフと呼ばれることになるに違いない。

 どうりで走りは研ぎ澄まされているのに、いたずらにサスペンションは固められてはおらず、日常性は高い。優しい乗り心地と爽快なハンドリングをバランスさせているのは、それが理由だろう。フルモデルチェンジされた直後の今、このRラインがもっとも元気なモデルだということができるが、これからもっと過激なスポーティグレードが加わってくることは明らかだ。だからRラインは、こんなにも乗り心地が良く操縦性が整っているのだ。

 ごく日常に寄り添いながら、心地よいスポーティ感が盛り込まれていた。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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