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麻薬で逮捕の五輪スタッフはアグレコ社員…五輪やサッカーW杯に不可欠な“物凄い企業”だった

文=編集部
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Aggreko Events Services Japan公式サイトより

 コカインを使用したとして、警視庁麻布署は麻薬取締法違反容疑で東京オリンピック(五輪)スタッフとして来日していた英国籍の男4人を逮捕した。逮捕された4人が所属していた仮設電源設備・冷暖房施設レンタルの世界的大手Aggreko(アグレコ、本社・英グラスゴー)の日本法人Aggreko Events Services Japanは13日、ロバート ウェルズ代表取締役名で以下のようなプレスリリースを発表した。

「アグレコは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に携わる弊社人員4名が麻薬に関わる事案で警察に留置されていることを承知しております。

 当社は、警察の捜査に全面的に協力しております。また、警察の捜査を受けている4名は現在職務から解かれており、今後弊社では徹底的な調査を行う予定です。

 当社は今回の事案が、日本の皆様、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、選手の皆様、東京オリンピックが安全に実施されるために尽力されている多くの皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします。本件に関する会社としての責任を深く認識し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のプレイブックを遵守するため全力を尽くします。

 アグレコの業務を実施する全ての日本のチームメンバーには、常に最高水準のプロフェッショナリズムを維持し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のプレイブックを遵守しなければならないことを徹底しております。

 また東京大会の業務に携わる全ての職員は、業務開始前に弊社の行動規範と麻薬・酒類に関する規定に遵守するという文書に署名しております。

 当社は、これら規範と規定の違反に対しては一切の許容を許さない厳しい対応方針を取っております。違反行為があった場合は、内部懲罰規定に基づき厳罰を科しています。

Aggreko Events Services Japan 株式会社 代表取締役 ロバート ウェルズ」(原文ママ)

 逮捕された4人は容疑を全否認しているという状況のようだが、会社として「厳罰を科す」などと強いメッセージを打ち出した形だ。同社は東京2020オリンピックオフィシャルサポーターでもある。

東京電力福島第1原発事故時に仮設電源設備を提供

 アグレコは大規模音楽イベントやスポーツイベントの照明やカメラ、スコアボードなどへの電源供給を事業の柱としている。これまで大規模音楽フェスティバル「英グラストンベリー・フェスティバル」や、日韓サッカーワールドカップ、米NFLスーパーボウル、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップでの電源設備提供活動に従事。五輪には1988年ソウル大会から参入した。

 東京五輪では発電・配電用途の仮設電源システムを提供し、全43 会場と選手村、メインプレスセンター・国際放送センターにおける放送、テクノロジー機器、競技用照明などの重要電源を供給する予定だ。アグレコは2018年12月14日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と電力供給契約を締結する際、「競技・式典の大会運営と世界への映像発信が着実に行えるようにサポートする」とのコメントを発表している。

 一連の報道や同社の発表によれば、今回逮捕された同社社員4人はこの仮設電源システムのメンテナンス要員だったようだ。東京電力幹部は話す。

「オリンピックやサッカーワールドカップなどの大規模イベントは、既存の配電・電源設備だけでは到底賄えません。世界中からプレスが押し寄せるので、彼らの放送業務に必要な電力を供給する必要も出てきます。アグレコさんは、2011年3月11日、東日本大震災時に発生した弊社の福島第1原発事故へも重要なご支援をいただきました。全電源を喪失した発電所に同年6月までに200メガワットの仮設発電設備を提供していただき、原子炉冷却や事故の被害拡大防止に貢献していただきました。

 コロナ禍で忘れられがちですが“復興五輪”という大会テーマを踏まえると、アグレコさんがオフィシャルサポーターというのは、福島の現場に関わった人間からすればうなずけるところもあります」

アグレコの即時謝罪、国内の“反五輪感情”への配慮か

 一方、今回のように広い意味での“五輪関係者”として訪日するメンテナンス要員の行動管理に関し、別の東京電力社員は語る。

「アグレコさんほどの巨大企業だとスタッフの数も膨大です。いくら行動規範と薬物・酒類に関する規定に署名させても、いい大人のスタッフの一挙手一投足を完全に管理するのは無理でしょう。

 今回の件に限って言えば、日本に来ていきなり薬物に手を染めたというのは考えられないので、常習者ではないでしょうか。会社はそれすらわからなかったということです。五輪関係者というと、アスリート本人やその周辺、国際オリンピック委員会や各スポーツ団体の構成員だと思われがちですが、今回逮捕された社員のように、電力や輸送など大会インフラに従事する要員も多く含まれています。そして、インフラ関連の技術者は職人気質の人が多いものです。

 アグレコさんの即時謝罪と当該社員の即時厳罰処分には“五輪関係者への注意喚起”と、くすぶり続けている日本国民の五輪へ反感への配慮の意味合いもあったのではないでしょうか。大会組織委の事件公表もこれまでになく早かったですしね。

 来日した多くの五輪スタッフは宿舎と会場の往復だけで頑張っています。が、日本のように『他人が我慢しているから自分も我慢する』という風潮を“良し”としない国も多いです。また、どれほどルールを厳格化しても、それを破ろうとする人間は必ずいるでしょう。とにかく五輪をきっかけにしたクラスターが発生しないと良いのですが」

(文=編集部)

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