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飲食店に営業制限の一方、豊洲・五輪選手村の周辺にバーベキュー施設林立…東京都政の混乱

文=編集部
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「Getty Images」より

 「Smart FLASH」(光文社)は7日、記事『豊洲市場付近のビアガーデンに “ノーマスク外国人” 殺到…五輪関係者も癒やしの場に』を公開。東京オリンピック(五輪)の各国選手団やスタッフが、選手村の対岸にあるビアガーデン(バーベキュー施設)に集まり、“ノーマスク”でビールやカクテルを楽しんでいる模様が紹介され、同日午前には「癒しの場」がTwitter上のトレンドにランクインするなど物議を醸した。

 豊洲には、報道で取り上げられた店舗以外にも大規模なバーベキュー施設が複数存在する。都の緊急事態宣言明け以降、バーベキュー施設は次々に営業を再開し、イベントも開いている。そのなかには、東京都江東区が設置する「豊洲ぐるり公園」も含まれる。同公園でのバーベキュー施設の運用に関して、同区の指定管理者である豊洲パークマネジメントJVの広報担当者は次のように語る。

「今月5日から営業再開させていただいています。『まん延防止等重点措置』発令期間は、江東区からの要請に基づき『酒類の提供・持込禁止』で営業をしています。最近は確かに外国人の方のご利用も増えているので、今後、五輪関係者の方の利用も踏まえ、外国語での注意喚起など対策を徹底していきたいと考えています」

 また、豊洲で営業するほかの複数の事業者からも今回のFLASHの報道に対し「スタッフの感染防止対策は徹底しているし、ああいう部分だけ切り取られても……」「風評被害ではないか」などとの声も聞かれた。

バーベキュー施設の豊洲林立の背景に小池都政の失敗?

 そもそも、なぜ豊洲にはこうしたバーベキュー施設が林立しているのだろう。東京都職員OBはその現状に関して次のように説明する。

「2018~19年ごろ、豊洲市場周辺にはバーベキュー施設が次々に開業しました。東京五輪の需要を見込んだ出店です。都の豊洲全体の再開発後に流入する新住民の存在を踏まえている部分もあるとは思いますが、五輪が最大の出店の契機だったことは間違いないでしょう。“そうした業態の事業者”が豊洲に多数出店した背景のひとつに、都の豊洲市場移転計画の混乱も少なからずあると思われます。

 小池百合子都知事が就任して以降、豊洲市場の移転計画が物議を醸したことはご存知の通りです。当初の移転計画では市場本体の移転だけではなく、市場の付帯的な観光施設の整備計画も含まれていました。

 いわゆる『千客万来施設事業用地問題』です。当初、都は物販・飲食に加え温浴・宿泊も可能な大型複合商業施設『千客万来施設』の整備を目指していました。都の公募に応じた『すしざんまい』運営会社の喜代村と大和ハウス工業の両社が運営する予定だったのですが、条件が折り合わず2015年に計画は白紙になりました。

 再公募した結果、神奈川県小田原市の温浴施設事業者・万葉倶楽部が16年3月に運営することが決まったのですが、ちょうどそのころ例の豊洲市場移転問題が浮上。小池知事が築地市場跡地を『食のテーマパーク』として再開発をする方針を示したことで、万葉倶楽部が難色を示すことになりました。

 築地とのお客の取り合いになることは必至ですから、事業者としては当然の判断だったと思います。結局、施設は『豊洲江戸前市場(仮称)』という名称になり、着工は2020年に延期になりました。つまり、同施設の開業は東京五輪に間に合わないことが確定したのです。

 こうした一連のゴタゴタの結果、豊洲市場周辺はコアとなる観光施設が一定期間不在となり、対岸の五輪選手村関係者の観光・飲食の受け皿に“空き”が生じました。そのため恒久的な施設を建設せずに、期間限定で状況に応じて機動的な展開が可能な屋外型・半屋外型のバーベキュー施設の出店につながったのではないでしょうか。

 ちなみに20年1月、同施設の予定地に3年間の期間限定で整備されたのが現在の商業施設『江戸前場下町』です。これも、五輪需要を見込んだ“つなぎの施設”です。

 事業者にしてみれば五輪期間中に収益の最大化を見込んで開業しているので、これからの期間、必死に営業することになるのは自明でしょう。積極的に集客をしている飲食施設が選手村付近にあるのだから、五輪関係者は当然利用するでしょうし、それを止めることは誰にもできません」

 東京五輪誘致時に政府や東京都が声高に“おもてなし”を主張し、多額の公費が投入された五輪関係者向けの各種事業はどうなったのだろう。結局、開会式を前にした土壇場で“おもてなし”が民間に丸投げされている側面があるのかもしれない。

 その一方で、酒類を提供する東京都内の飲食店は、五輪期間中の感染拡大を防ぐため今も営業制限がかかっている。また今春の花見シーズンには、都が都民に対し屋外での飲み会や“路上飲み”を厳しく規制したことも記憶に新しいのだが……。

 東京オリンピック開会まであと16日。さまざまな矛盾をはらんだまま、間もなく“平和とスポーツの祭典”が始まろうとしている。

BusinessJournal編集部

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