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医療も自分も守る 現役医師が説く「患者力」とは

新刊JP
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※画像:『これからの医療 5つの「患者力」が、あなたと医療を守る』(ごま書房新社刊)著者・永井弥生さん

 コロナ禍を機に、「医療リソース」が大きな注目を集めることになった。


 医療は有限であり、本当に必要としている人に行き渡るように、社会全体として守らなければならないと感じた人は少なくないはず。


 2014年に発覚した群馬大学病院の医療事故で、病院側の医療安全管理部長として問題の対処にあたった経験を持つ医師・永井弥生さんは、著書『これからの医療 5つの「患者力」が、あなたと医療を守る!: 「患者力」を付けなければ自分を守れない』(ごま書房新社刊)で、患者側が医療機関を支える心構えを持つことは、患者自身を守ることにつながると説く。


 医療を守るために患者側はどんなことができるのか。そして永井さんが説く、「患者力」とはどのようなものなのか。ご本人にお話をうかがった。その後編をお届けする。


永井弥生さんインタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)


※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

 

■最後に「決断」をするのは医師ではなく患者自身


――こちらも永井さんが挙げている5つの患者力の一つですが、「自己責任力」は医療のどのような場で必要になりますか?


永井:医療者は患者さんに適切な情報をわかりやすく伝える責務があります。ただ、医療者の「逃げ」と捉えていただきたくないのですが、その情報をもとに自分が受ける治療を最終的に決めるのは患者さん自身です。その選択に対しての責任を持ちましょうということですね。


 もちろん、「自分はわからないからお任せします」という方もいますし、それが悪いとは思わないのですが、任せる以上は医療者を信頼して、覚悟を持って任せていただきたいと思っています。


――あらかじめ自分で知識を得たり医師の説明を理解しようとしないまま「任せます」と一任しておいて、治療結果が悪いと怒るのはおかしいですよね。


永井:そこは医師と患者さんの事前の信頼関係の問題でもあるんですよ。医師側はきちんと説明したつもりでも、患者さんからしたら難しくて理解できず「わからないからお任せします」というパターンも多いので。


 だから、「自己責任力」とは書いていますが、医療者側の伝える努力も必要です。患者さんが理解できていないようなら、わからないなりにも大事なところは押さえられるように噛み砕いてもう一度説明して、そのうえで治療を選択してもらったり、あるいは任せてもらったり、という努力をすることで患者さんとの信頼関係ができていきます。それで万が一治療がうまくいかなかったとしても、患者さんも納得するでしょうし、「ここで診てもらってよかった」と思っていただけるのではないかと思っています。


――「生きる力・死ぬ力」のところで「医療はあなたが生きるお手伝いをするだけ」とありました。このサブタイトルの意味について教えていただければと思います。


永井:医療の現場ではスペシャリストが様々なスキルを提供できます。それは上手に利用していただきたいのですが、それは結局患者さんが生きる「お手伝い」にすぎません。生き方を決める主役は患者さん自身ということです。


――永井さんは2014年に発覚した「群馬大学病院腹腔鏡手術後8人死亡事故」の際、医療安全管理部長として、遺族の方々とのやりとりも含めた事後対応に取り組んだ経験をお持ちです。これは永井さんが以前からコンフリクトマネジメントを学んでいたことが決め手になったとお聞きしましたが、永井さんがコンフリクトマネジメントを学ぼうと思ったのはなぜですか?


永井:私は皮膚科医なのですが、群馬大学病院にいた頃、点滴が漏れてその部分が潰瘍になってしまったりなど、他の診療科の治療で皮膚のトラブルが出た患者さんがこちらに回ってくることが多かったんです。そういう時、患者さんは病院側のミスで傷つけられたわけですから、きっと不満に思っているだろうと想像がつくじゃないですか。だけど、意外と医師は気にしないんですよ。その皮膚トラブルの原因を作った診療科の医師も「治療しといて」みたいな感じで。


 そういうところに疑問を感じて、自分なりに病院内で対策を立てつつ仕事をしていたら、「医療安全管理部の仕事をやりませんか」ということになったのです。それでやってみたら、病院内で起きた患者さんとのいろいろなトラブルを目の当たりにしました。


 それまで何も言っていなかった患者さんが突然怒りだしたりとか、治療結果が悪かったといってクレームが来たり、といったことです。だけど、それってそこにいたるまでの伏線が必ずあるはずなんですよ。いきなり怒ったわけではなくて、病院側に対してためこんでいた不満が爆発したんです。こちらが早く気づいていれば何かできたかもしれません。


 そういう医療者と患者さんの間のコミュニケーションのへだたりをいかになくすか、病院側に不信を抱いている患者さんにどう対応するかについて学べるものはないかということでコンフリクトマネジメントを学ぶようになりました。

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