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山崎俊輔「発想の逆転でお金に強くなる『お金のトリセツ』」

FIRE実践!本気で40歳代リタイアを実現するマネー&行動プラン…長期積立分散投資の重要性

文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表
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「Getty images」より

今年、日本でバズったお金のキーワードは「FIRE」

 今、FIREがブームとなっています。“Financial Independence, Retire Early”の略で、経済的な独立を果たし、早期リタイアを目指すチャレンジのことです。

 私も今年の1月に、『「やりがい」より「高収入」を選ぶのが正解…早期リタイアを実現する「貯蓄増大」戦略』というコラムを寄稿したのですが、タイトルにFIREと使っていなかったように、当時はまだ「FIREって何?」という雰囲気のほうが強かったと思います。

 半年ほど経って状況は一気に変わりました。マネー系の情報媒体をチェックしていると、FIREという文字を目にする機会がぐっと増えました。編集者と話をしてみると、タイトルにFIREとつけるとアクセス数が段違いだそうです。

 FIREは、40~50歳代の中高齢者のテーマではなく、むしろ20~30歳代の若い世代のためのお金のテーマです。そこで今回は「本気で40歳代で仕事を辞めたい人のためのFIREの方法」をまとめてみたいと思います。

キャリアアップに徹底的に取り組む

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『日本版FIRE超入門』(山崎俊輔/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 あなたが人より早くリタイアしたいとすれば、人より多く稼ぐ気合いが欠かせません。普通に働く人の生涯賃金を、普通の人より短い年数で稼ぐわけですから当然のことです。特に、20歳代後半と30歳代前半でのキャリアアップが欠かせません。まず20歳代前半は自分の伸び代を見極め、稼ぐ能力を高めることに集中します。悩むなら、仕事に使える資格をとにかく取得しておくといいでしょう。資格給がゲットできたり、転職活動時の能力証明になることがあります。

 今の会社で年収増が早期に実現するのかも冷静に判断します。20歳代後半以降は、年収増を実現するためには転職もためらわないくらいのスピード感でキャリア形成をしていきましょう。

 とはいっても、毎年転職を繰り返し、年収は大して増えず、むしろ長続きしないタイプの人材と見なされるリスクもあるので、転職のタイミングを見計らうセンスも求められます。

徹底的節約によるハイペースでの貯蓄を実現

 次のテーマは節約です。社会人最初の数年間で毎月の家計のやりくりができるようになったら、FIREチャレンジャーは年収増の実現とあわせて、徹底的な節約体制を整えていく必要があります。

 基本的には「大卒初任給以上の収入増は貯蓄」とするくらいの覚悟が40代FIREチャレンジには必要です。「年収増=生活水準アップ=支出増」を繰り返してしまうと、どんなに年収が増えてもお金が貯まりません。40歳代でリタイアしたいなら貯蓄ペースを上げ続ける意識で取り組みます。

 できるだけ生活にかかるコストは抑え、ボーナスも基本的には半分以上を貯めます。これでハイペースの資産形成になります。年100万円を超えて、年200万円以上たまり始めると、40歳代で相当の資産に育つでしょう。

 ただし、これを徹底すると、ワンルームマンションでほとんどモノは持たない生活を志向することになります。ミニマリストのライフスタイルが参考になるかもしれません。自分が苦しいと思うなら、「年収3~4割増=(貯蓄2~3割増+生活水準1割増)」くらいで生活の充実にお金を回してもかまいません。

長期積立分散投資で無理なく確実にリターンを獲得する

 FIREというと投資テクニックばかりが注目されがちですが、あなたが本気でビジネススキルを磨き、節約を真剣に取り組んでいるのであれば、運用に高いリターンを求めすぎないほうがいいでしょう。例えば年10%以上というのは、かなりリスクを取っている状態です(2020年度のように相場全体が大きく上昇することもありますが)。

 まずは年4~6%くらいの利回りを目指してみます。これでも15~20年も続ければ、相応の収益確保につながります。一定額を20年積み立てて、年4%相当の収益確保をしたものとして試算をすると、財産は積立元本の52.3%増になります。1000万円の元本が1500万円超になるなら、悪いペースではありません。

 そして、年4~6%くらいの運用利回りを狙うのであれば、国内外に分散投資をしたバランス型ファンド(インデックス投資)を積立購入するだけで、利回り獲得のチャンスが得られます。個別株の短期売買チャレンジ、レバレッジをかけてのFXや暗号資産トレード、不動産投資などに踏み切るのも選択肢ですが、まずはインデックス投資を行いつつ、資産の一部を振り向けていくことをおすすめします。

夢の40歳代リタイアをしたいなら、あきらめず挑戦しよう

 22歳から3年間は月3.0万円、25歳からは月6.0万円、30歳からは月12.0万円のペースで積み立て、年4.0%で回したとしたら、40歳時点での積立額は約2500万円です。

 ということは1億円を目指すなら、積立ペースを4倍にするか、運用利回りを18.5%まで高めるか、あるいはその組み合わせ、ということになります。年収の半分以上を貯める人はこのモデルの2~3倍以上は貯められるでしょうから、決して夢の実現は不可能ではありません。しかし高いハードルであることは事実です。

 さて、FIREの基本的な手法を説明してきましたが、チャレンジしてみたいと思うでしょうか。もし本気でやってみたいと思うなら、ぜひ早期リタイアを目指してみてください。そして、あなたがFIREを目指そうとするとき、そのチャレンジを笑う人があるでしょう。そうした雑音には負けずあきらめず、がんばってください。

 また、若くして数千万円を貯めていることについては、基本的には内緒にしておくことをオススメします。妬みやひがみの対象となるだけでなく、お金目当てで近づいてくる人がいたり、最悪の場合はあなたの財産をかすめ取ろうとする人がいるからです。

 拙著『日本版FIRE超入門』には、ここでは書き切れなかったFIREに向けて注意するべきポイント、FIRE実行後の留意点などもまとめています。よろしければ手に取ってみてください。

(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。個人の資産運用や老後資産形成のアドバイスが得意分野。日経新聞電子版やYahoo!ニュースなど多数連載を持つ。月間PVは200万以上。
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
financialwisdom

Twitter:@yam_syun

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