
ポーランドの首都ワルシャワで行われたフレデリック・ショパン国際ピアノ・コンクールにおいて、日本人ピアニストの反田恭平さんが第2位、小林愛実さんも第4位を受賞されました。この快挙のニュースは、世界中の音楽業界のみならず、日本のニュースやワイドショーでも取り上げられています。
このお2人は桐朋女子高等学校音楽科の出身です。僕は桐朋学園大学音楽学部で勉強したので、後輩のように思えて、なおさらうれしいです。
余談ですが、この桐朋学園女子高等学校音楽科は、指揮者の小澤征爾先生やヴァイオリニストの竹澤恭子さんをはじめ多くの世界的な音楽家を輩出していますが、反田恭平さんのように男子学生も通うことができる不思議な女子高なのです。
これは、幼少からの音楽英才教育を実践していた斉藤秀雄、井口基成らが、高校の音楽科を創設しようと呼びかけていたなかで、快く応じたのが桐朋学園女子高等学校だったことによります。しかし、当時の男子学生は、自宅の最寄りの駅で学生定期券をつくるために生徒手帳を出しても、「これは女子校の定期券じゃないか。偽装してはだめだよ」と駅員から叱られ、追い返されることもたびたびあったと聞きます。現在もなお、桐朋学園女子高等学校音楽科に男子学生が通うという珍しいかたちを取っています。
反田さんと小林さんは1歳違いなので、高校時代には廊下などですれ違っていたはずですが、今回はショパン・コンクールの大舞台でワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団をバックに、お互いにショパンのピアノ協奏曲を演奏し、ダブル受賞となりました。
ショパン・コンクールが特別な理由
このショパン・コンクールは音楽コンクールの最高峰と目され、ベルギーの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」やロシアの「チャイコフスキー国際コンクール」と並んで「世界三大コンクール」とも称されています。スポーツでいえば、テニスのグランドスラムのようなもので、これまでもマルタ・アルゲリッチ、マウリツィオ・ポリーニ、クリスティアン・ツィマーマン、内田光子さんらを世界に送り出しています。ちなみに、反田さんの2位受賞は、1970年に2位を受賞され、今も世界の一線でご活躍の内田さん以来、51年ぶりの快挙です。