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スポーツジムの倒産・廃業が過去10年で最多に…ライザップは店舗整理で非対面型へ

構成=長井雄一朗/ライター
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市場規模が急減したフィットネスクラブ業界

 帝国データバンクの調査によると、2020年度に発生したフィットネス(スポーツジム)事業者の倒産や廃業が累計26件に上ったという。これは2019年度の23件を上回り、過去10年で最多の数字で、リーマン・ショック直後で需要が大きく後退した2008年度の29件に迫る勢いだ。フィットネスクラブ業界の現状について、帝国データバンク情報統括部副主任の飯島大介氏に話を聞いた。

利用者と会費の大幅減が打撃に

――フィットネス業界の経営環境が厳しさを増していますね。

飯島大介氏(以下、飯島) 帝国データバンクの調査では、2020年度業績が判明した約500社のうち7割超が前年度比で売上減となることがわかりました。減少幅は平均で20%を超え、半減以上の企業もあります。また、減収企業のうち利益動向が判明した約130社をみると、約6割が最終損益で赤字、2割が減益となり、損益面でも影響を受けた企業が8割超に上っています。特に経営体力に乏しい中小が経営破綻や事業継続を断念するケースが増えているほか、大手でも不採算店舗の整理といった動きが目立っています。

――業績悪化の背景には何があるのでしょうか。

飯島 コロナ禍に伴う利用者の急減と、それによる会費収入の大幅減があります。経済産業省の調査によると、近年のフィットネスクラブ利用者は累計2000万人を超え、20年間で約2倍に増加しています。しかし、コロナ禍で、20年5月には利用者数が19年の5%台まで急落しました。また、店舗の休止で会費の返却を余儀なくされたケースもあります。今年に入っても利用者数は前年比7割前後の回復にとどまるなど、需要の回復が遅れています。

――大手の動向はいかがでしょうか。

飯島 パーソナルジム最大手の「RIZAP」は、オンラインを活用した在宅フィットネスのプログラムを拡充し、店舗の統廃合を進める一方で、TikTokやYouTubeなどの動画投稿サイトを活用、非接触・非対面型のサービス拡充に取り組んでいます。トレーナーととともに健康を高めていくという大戦略は変わっていませんが、オンラインの利用者向けのプログラムを提案しています。

 ジェイエスエスは同業大手のティップネスと協業し、同社が有する施設やLIVEレッスンプログラムといったサービスを割引価格で利用できるようにすることで既存会員の満足度を高めています。

 他方、ルネサンスは傘下の子会社を通じ、アウトドア型のフィットネス事業に本格的に参入しました。アウトドアフィットネスは屋外施設や自然環境を利用する新形態のサービスで、屋内で「密を回避したい」と考える個人利用者の潜在ニーズの取り込みが期待できるため、今後の事業拡大が見込まれる分野です。

――今後のフィットネスクラブ業界の見通しについて教えてください。

飯島 今後もしばらくは厳しい経営環境が続くでしょう。ただ、国内のフィットネス会員総数は500万人前後と人口の5%にとどまり、全人口の約3割が会員のアメリカなどの海外市場に比べると、人口当たりの会員数はまだまだ少ない。 つまり、日本は潜在ニーズが高い市場といえるのです。

 また、ある顧客満足度調査では、フィットネスクラブの利用について現利用者のほぼ全員が継続を考えているほか、コロナ禍で利用を中止した元会員も7割以上が再度利用したいと回答しています。フィットネスクラブは会員の満足度が高く、コロナ禍が収束すれば需要が回復する見込みも大きいことがわかります。

 外出自粛が長期化するなか、運動や健康の重要性も改めて見直されており、国内市場のポテンシャルは依然として高いということです。そのため、各社とも客足が伸び悩む屋内店舗型サービスから、オンライン中心のサービスやアウトドア型のフィットネスなど、新たな需要を掘り起こすことに注力しています。

(構成=長井雄一朗/ライター)

長井雄一朗/ライター

長井雄一朗/ライター

建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス関係で執筆中。

Twitter:@asianotabito

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