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CD販売「連続ミリオン・連続1位」を考える…下り坂のAKBと乃木坂、岩盤支持のキンキ

文=峯岸あゆみ
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AKB歴代CDシングルの売上第1位は、2013年にキングレコードから発売された「さよならクロール」! まゆゆにぱるる、ゆうこにともちんと、AKB黄金期といえるかも。画像は同シングル(Type A・通常盤)のジャケットより。

 少し前の話にはなるが、DREAMS COME TRUEの中村正人が10月5日に更新した自身のブログで、9月22日に同ユニットが約1年2カ月ぶりにリリースしたCDシングル「次のせ~の!で -ON THE GREEN HILL-」(Universal Musicより発売)の売り上げ不振を訴え、ファンに購入を呼びかけたことが話題を呼んだ。

「NEWシングルCD、ご購入をお考えのベイビーズはなる早のご購入をお勧めします。ドリカムのCDを取り巻く状況は厳しくCDショップから返品となる前に是非。なんせワースト記録更新なもので(大粒の涙)」

「CDが売れなくなった」といわれるようになって久しい。かつては、「決戦は金曜日/太陽が見てる」(1992年、以下発売はソニーレコーズ)、「go for it!/雨の終わる場所」(1993年)、「WINTER SONG」(1994年)、「サンキュ.」「LOVE LOVE LOVE/嵐が来る」(ともに1995年)と5作のミリオンセラーを出したドリカムでさえも、このような状況なのだ。配信が主流になったのはもちろんのこと、コロナ禍により人々の消費意欲が落ち、CDショップに出向く機会が減り、また、各種CD販促イベントの開催にも大きく制限が生じたことで、ただでさえ売れないCDがさらに売れなくなったのは間違いないだろう。

 ではそんな時代に、かつてはCDセールスにおいて大きな惹句となっていた「連続●●記録」の類いは、いったいどうなっているのだろうか? さすがに更新がキツくなっていないのだろうか? ここでは、AKB48B’zKinKi Kidsと、3組のアーティストが誇る「大記録」の“今”について検証してみたい(以下、順位、売り上げ枚数はすべて「オリコン」が発表したデータによる)。

握手会開催NGで、AKB48の「連続ミリオンセラー記録」はいよいよストップへ

 AKB48は、2011年2月発売の「桜の木になろう」から、2020年3月18日発売の「失恋、ありがとう」(ともにキングレコード)まで、「シングルミリオン連続達成作品数」を38作まで延ばしていた。なお、オリコンの集計では、日本で2番目に多くのミリオンセラーを出しているアーティストはB’zで、その数は15作。ただし、連続しての記録ではない。どうしても「AKB商法」などと揶揄される要素はあるものの、38作連続ミリオンセラーというのはやはり、日本の音楽業界においてはあまりに傑出した記録なのだ。

 ところがここへ来て、その大記録がいよいよストップすることが、ほぼ確定した。2021年9月29日に発売されたシングル「根も葉もRumor」のセールスが、とても100万枚に到達しそうにないのである。

 前作『失恋、ありがとう』には、従来のシングルと同じく特典として「イベント参加券」が封入されていた。予約が始まったのは、すでにパンデミックは深刻化していたものの、まだ「ま、コロナが落ち着いたらそのうち握手会もあるだろう」という楽観的観測がギリギリで成立した時期でもあった。結果的に恒例である対面での握手会の開催は不可となったが(代わりにオンラインによるイベントを開催)、『失恋、ありがとう』は初週で116万7000枚を売り上げ、累計では118万1701枚を記録。2020年の年間シングルランキングで2位のヒットとなった。

 ところがその後AKB48は、2020年7月1日に「離れていても」という配信限定チャリティ楽曲を発表したものの、約1年半もの間、シングルCDをリリースすることはなかった。大幅な戦略の見直しを検討する必要があったとしても、アイドルにとって1年半は長い。これに対し、「握手会ができない状況では、シングルを出したくても出せないのでは?」という見方が生まれるのは仕方がないことだった。

 そして、今秋ついに発売された新作『根も葉もRumor』は、「イベント参加券」ならぬ「応募抽選シリアルナンバー券」が封入された、「リアルな握手会を前提としないシングル」として発売された。

 同作は週間シングルランキングでは1位を記録したものの、初週のセールスは35万1000枚で、前作より81万6000枚という大幅ダウンとなった。そして、発売2週目ですでにランキングでトップ10圏外に落ち、以降も再浮上はない。現在は女性アイドルのCDセールスは初週がすべてといってよく、V字回復はまずあり得ない。となれば、コロナの収束後に対面握手会の参加券&「シングル選抜総選挙」の投票シリアルナンバーカードを封入して再発売……といった奇策にでも出ない限り、「根も葉もRumor」がミリオンセラーになることは、現実的にまずあり得ないのだ。

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2021年9月にキングレコードから発売されたAKB48の58thシングル「根も葉もRumor」。このシングルを引っさげて、今年の紅白歌合戦にリベンジなるか? 画像は同シングル(TypeA・初回限定盤)のジャケットより。
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2021年9月にソニー・ミュージックレコーズから発売された乃木坂46の28thシングル「君に叱られた」も苦戦を強いられているようだ。白石麻衣の不在はやはり大きいのか? 画像は同シングル (TYPE-A)のジャケットより。

下り坂?の乃木坂46は、「10作連続ミリオン」の達成ならず

 もちろん、接触イベント開催NGという状況下で大きなダメージを被ったのは、何もAKB48だけでない。2017年3月22日発売「インフルエンサー」から、白石麻衣の在籍ラスト曲となった2020年3月25日発売「しあわせの保護色」(ともにソニー・ミュージックレコーズ)まで9作連続でミリオンセラーを記録していた乃木坂46は、緊急事態宣言以降の2曲「世界中の隣人よ」と「Route 246」(ともにソニー・ミュージックレコーズ)を配信限定として、「10作連続」がかかったシングルCDのリリースを先送りにした。

 ようやく2021年1月27日にシングル「僕は僕を好きになる」をCDとしてリリースしたものの、この作品は従来の6~7割程度のセールスにとどまり「10作連続ミリオンセラー」とはならなかったのだ。以後も、「ごめんねFingers crossed」(6月9日発売)、「君に叱られた」(9月22日発売)とコンスタントにCDシングルをリリースしたものの(発売はいずれもソニー・ミュージックレコーズ)、いずれも100万枚には届いていない。

「50作連続初登場1位」に王手のB’zは、4年間記録更新ナシ

 B’zはいくつものCDセールス記録を持っているが、そのなかで更新中の連続記録が「シングル連続初登場1位獲得作品数(49作)」である。これは、1990年6月13日発売の「太陽のKomachi Angel」(BMGビクター)以降、リリースしたすべてのCDシングルが初登場1位という、足掛け30年以上にわたるスーパー記録なのだが、いよいよその更新が微妙になっている。

 というのも、B’zが「49作品連続」となる初登場1位を記録したのは、コロナ禍前の2017年6月14日に発売した「声明/Still Alive」(バーミリオン)というシングルなのだ。つまり彼らは、なんと4年以上もシングルCDを出していないことになる。2021年5月21日に「きみとなら」、10月1日「UNITE」(ともにバーミリオン)という2つのシングルを発表しているが、いずれも配信限定として、CDを発売しなかった。これは、「50作連続」の大台に乗せるための好機をうかがっているB’zが、コロナ禍を踏まえ勝負を回避している――という見方もできなくはない。

 ただし、それにも限界がある。現在「45作連続初登場1位」の記録を更新中のAKB48がすぐ後ろを走っているからだ。トータルセールスは落ちても、AKB48はランキング1位をゲットするだけの力はまだまだ十分に有しており、“50作連続”を射程に入れている。さて、B’zは今後、どのような選択をするのか?

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2017年に発売されたシングル「声明/Still Alive」(バーミリオンレコード)以降、シングルCDを出していないB’z。最近はサブスク解禁で若い世代にも人気のようだ。画像は同シングルのジャケットより。
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2021年7月にジャニーズ・エンタテイメントから発売されたKinKi Kidsの最新シングル「アン/ペア」。42歳になった現在もまだまだ王子様キャラは健在のおふたり。ダンスもキレッキレでかっこいい! 画像は同シングルのジャケットより。

KinKi Kidsは、“岩盤支持層”の存在でコロナの影響なし!

 オリコン史上、「デビュー曲初登場1位」を最初に記録したのは、近藤真彦の「スニーカーぶる~す」(1980年12月12日発売、RVC)であり、以後、ジャニーズ事務所所属者の多くがそれに続いている。だが、いくらジャニーズ勢であっても「初登場1位」の継続は難しい。「通算1位獲得作品数(54作)」のレコードホルダーである嵐でさえ、1位になれなかったシングルがいくつもある。

 そんななかで、「デビューシングルからの連続1位獲得作品数」の記録を更新し続けているのが、KinKi Kidsだ。彼らは、1997年7月21日発売のデビュー曲「硝子の少年」から、2021年7月21日発売の最新シングル「アン/ペア」(ともにジャニーズ・エンタテイメント)まで、43作連続で「初登場1位」をキープしているのだ。

 しかし実はこの記録に関しては、ほかとはいささか異なる事情が背景にある。

 KinKi KidsのシングルCDのリリースのペースは、2004年以降は基本的に年に1~2枚であり、コロナ禍にあってもそのリリース間隔は変わらなかった。そして、ここ4年間の初週セールスの推移を確認すると、興味深いことがわかる。

・2018年12月19日発売「会いたい、会いたい、会えない。」18.0万枚
・2019年12月4日発売「光の気配」17.2万枚
・2020年6月17日発売「KANZAI BOYA」18.7万枚
・2021年7月21日発売「アン/ペア」17.1万枚

 この数字を見る限りKinKi Kidsには、“岩盤支持層”ともいえる固定ファンが存在し、毎回確実にCDを初週に購入していると推測できる。だからこそ、コロナの影響をほとんど受けていないのだ。KinKi Kidsはこれまで、“同じ週に他の強力なアーティストがシングルCDをリリースすることがない”という強運(笑)も持ち合わせており、それが続く限り、この連続1位記録は途切れそうにないのである。

峯岸あゆみ/ライター

峯岸あゆみ/ライター

CSと配信とYouTubeで過去のテレビドラマや映画やアイドルを観まくるライター。ベストドラマは『白線流し』(フジテレビ系)、ベスト映画は『ロックよ、静かに流れよ』(1988年、監督:長崎俊一)、ベストアイドルは2001年の松浦亜弥。

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