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「日本の1周目はすでに負けている」?DXによる組織変革を実現する「4つ」の段階

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『デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー』(翔泳社刊)
『デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー』(翔泳社刊)

 近年、ビジネスシーンでよく聞かれるようになったキーワードの一つが「デジタルトランスフォーメーションDX)」だ。

 業務のデジタル化は多くの企業にとって喫緊の課題だが、その一方で簡単に成し遂げられるものではなく、これまでの洗練、カイゼンといった組織能力だけでは困難である。

 とりわけ日本におけるDXの現状については、2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大によってデジタル化の機運が高まったものの、オンライン化対応で混乱をきたし、遅々として進まない姿を露呈してしまったのは記憶に新しいところだ。

 さらに、このDXは、ITシステムの保全を目的とした「守りの投資」ではなく、存在しない価値を創出する「攻めの投資」だが、今なお「攻め」の活動よりも「守り」の活動に資金と時間を費やす必要があるのが実態となっている。

 実際に2020年に経済産業省が示した「DXレポート2」によれば、調査対象企業の9割以上がDXにまったく取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっているレベルといいう報告がなされている。

DXは「段階」をイメージして進める


 こうした状況について、元政府CIO補佐官で株式会社レッドジャーニーの代表を務める市谷聡啓氏は「日本のDX1周目(最初の周回)はすでに負けている」と述べる。では、ここからDXを進めていくにはどうすればいいのか。

 市谷氏の新刊『デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー 組織のデジタル化から、分断を乗り越えて組織変革にたどりつくまで』(翔泳社刊)はそんな状況を打破し、段階的に組織をトランスフォームしていくためのフローが解説されている。

 本書のタイトルにもなっている「デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー」とは「DXを段階的に進めるための組み立てのパターン」だと定義される。デジタル化を進めようとしても、一足飛びに理想の状態に辿り着くことはできない。だからこそ、「段階をイメージする」ことが大切だ。

 最初に「到達したい状態」を捉え、そこから逆算して段階を置いていく。一方で、現実的に可能かどうかを現在の地点から順向きに検証する必要もある。その際、問題になるのが各段階に至るためにどのくらい時間を費やすのかという点だ。「短い時間で大きな変化」は理想だが、新規性が高い取り組みだからこそ見積りができない部分でもある。

 ここで必要なことは「間違った判断をそのままに、かたくなに遂行していく」という進め方ではなく、「状況に応じた意思決定ができるよう、その機会を折り込み、実践とその結果からの学習でプランニングに変更をフィードバックする」(p.32より)という機動的な進め方だと著者は述べる。

 どのような方向に進めばゴールに近づくのか。その舵を状況に応じて変えつつ、「ふりかえり」(活動の棚卸しをして問題を捉え、次の取り組みを決める活動)と「むきなおり」(目指すべきゴールや目的を捉え直し、その到達のために必要なことを洗い出して取り組んでいることを見直す活動)を実施しながら、段階を踏んでいく。

 その段階の設計で捉える各段階のことを「ジャーニー」と呼び、本書では4つの段階パターンに分けて考えている。

デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーの「4つの段階」


 その4つの段階について少しずつ説明をしていこう。

(1)業務のデジタル化

 最初の段階では、DXによる組織変革を一過性のものにしないために見直すべきポイントが挙げられている。それが「コミュニケーション」のデジタル化であり、タスクマネジメントによる協働の型の実践だ。

 コミュニケーションという最も根本的な部分から取り組むことに意外性を感じるかもしれないが、著者は「組織を変える」活動を進めていく上で、コミュニケーション環境が貧弱であったり、環境が整っていない場合は、それ自体が枷になると考えている。

(2)スキルのトランスフォーメーション

 次の段階では、探索能力の組織的な獲得が求められることになる。

 探索活動とは、仮説検証や実験、試行錯誤のことで、DXという命題を取り組む上で必要なケイパビリティだ。仮説検証や実験ときくと、新規事業に必要で、既存事業には必要ないのではないかというイメージを持つかもしれないが、既存事業でも探索のケイパビリティは求められる。

 本書では、この探索能力を獲得するために何をすべきかが説明されている。

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