読書、特にビジネス書の読書は、ビジネスにおける教養や新たな情報を身につけたい、著者のノウハウを吸収したい、など「知識を得ること」が目的になりやすい。ただ、それだけではもったいない。ビジネス書の活かし方は他にもあるのだ。
ビジネス書から得られるものは「知識」「ノウハウ」だけではない
ビジネス書を読むことで獲得しうる「知識以外」のもの。
『読書の方程式』(羽田康祐著、フォレスト出版刊)が提示しているのは「ビジネス書を読む目的=自分の中に『視点』と『法則』を増やしていくこと」という考え方だ。
人は何らかの視点をおかないかぎり、何を考えるべきか?を明確にできない。一方、視点だけを持っていても、その視点に沿って「どう考えればいいか」がわからなければ、結論に辿り着けない。
「何を考えるか(視点)×どう考えるべきか(法則)=自分なりの結論」
と考えると、視点と法則を増やすことで、自分なりに導き出す結論の数も増えていく。
本書では、ビジネス書から著者の視点を探すことを「視点読書」、法則を探すことを「法則読書」として、その両方を自分の中にストックし、インプット・アウトプットを10倍にする「10倍読書」の方法を紹介する。
視点読書のステップは大きく分けて2つのステップがある。
1.ビジネス書から視点を発見する
この文章には、どのような視点が隠されているのか?という質問をぶつけながら、視点を発見する感覚で読み進めていく。
2.発見した視点を抽象化してとらえ直す
視点をより抽象化し、幅広く応用できる概念に置き換えられないか?と考え、応用範囲を広げる。
視点読書のカギは、ビジネス書の内容を暗記するのではなく、ビジネス書で発見した視点を抽象化し、応用範囲を広げることでアウトプット先を何倍にも広げることにある。
一方、法則読書のステップも2つある。
1.ビジネス書から法則を発見する
この文章には、どのようなノウハウや経験則が隠されているのか?という質問をぶつけながら、そのビジネス書の法則を見つける。
2.法則を抽象化してとらえ直す
発見した法則を、より応用範囲の広い法則にするために「幅広く応用できる概念に置き換えられないか?」という質問をぶつけながら、抽象化する作業を行う。
10倍読書の基本は、これらの「視点読書」と「法則読書」の2回読みをすること。なぜなら「視点読書で何を考えるか?」と「法則読書でどう考えるか?」を一度の読書で読み切ろうとすると、結局は1つも身につかなくなってしまうからだ。欲張らずに、視点なら視点、法則なら法則と、それぞれのテーマを絞って読み進めたほうが、集中力を分散させることなく、効果的な学びが得られるということだ。
本書では、ビジネス書を選ぶための3つの視点、オンライン書店を活用したミスマッチを防ぐ本の選び方も紹介している。何を読んだらいいか迷っている人はこれらも参考にできるだろう。よりビジネス書を仕事に役立てるためにも、「視点読書」と「法則読書」を試してみてはどうだろう。今までの読み方とは違った形で、インプット・アウトプットができるようになるかもしれない。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。