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セブンプレミアム、売上減の衝撃、消費者ニーズとの乖離鮮明…質・価格を見直し

文=Business Journal編集部
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セブン-イレブンの店舗

 顧客満足度の高いコンビニエンスストアはどこなのか。日本生産性本部サービス産業生産性協議会は2020年9月、20年度版JCSI(日本版顧客満足度指数)を発表した。

 コンビニ分野では、全国チェーンの大手を抑え、5年連続でセイコーマートを運営するセコマ(札幌市、非上場) が顧客満足度で首位に立った。11年度以降、20年度も含めて9回トップに立っている。

「顧客満足」「顧客期待」「知覚価値」など6つの指標と顧客満足スコアが公表された。北海道に拠点があるセイコーマートは「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「顧客満足」の4つの指標で1位。セブン-イレブンは「推奨意向」「ロイヤルティ」の指標で1位だった。6つの指標における1位と2位はセイコーマートとセブンが独占しており、その強さが際立っている。

 顧客満足度スコアの1位はセイコーマート(76.3)、2位はセブン(72.5)、3位はローソン(70.1)、4位はミニストップ(69.6)だった。セイコーマートは過疎地に積極出店し、北海道内で不可欠な社会インフラと認識されていることが、顧客満足度が高い理由の一つとなっている。

 店舗数は1776店(22年2月末時)。北海道が1084店で、道内ほぼ全ての市町村に展開する。道外では茨城県に83店、埼玉県に9店ある。コンビニ経営を成り立たせるには、徒歩5分程度の商圏に3000人規模の人口が必要とされる。そのため大手チェーンは都市部で立地を奪い合い、24時間営業などで消耗戦を繰り広げてきた。

 これに対してセコマは過疎地でも着実に稼ぐビジネスモデルを構築した。成功の秘密は2つある。1つは直営店方式。フランチャイズチェーン方式で店舗網を拡大してきた大手とは異なり、セコマは約8割が直営店だ。過疎地では加盟店のオーナーが高齢化を理由にやめたりしたら、次の営業の担い手になる人はいない。しかし、地元のコンビニに対するニーズは根強い。苦肉の策として、営業を引き継いで直営店にした、というわけだ。

 もう1つはPB商品。乳製品や弁当、菓子から即席麺まで、道内に20以上の工場を構えるメーカーである。プライベートブランド(PB)食料品を原材料、原料から一貫生産している。120ヘクタールの農場を持つ。PB商品の製造を社外に委託する大手チェーンとは異なり、セコマの事業モデルはSPA(製造小売業)そのものなのである。16年、現在の社名に変え、PBも順次、社名を同じにしてきた。セイコーマートでは約3500種類の商品を扱い、1000種類がセコマオリジナル商品だという。

 PB商品の「セコマ(Secoma)」はドラッグストア大手のウエルシアホールディングスや道外のスーパーでも売られている。セコマの20年12月期の決算公告によると純利益は5億円、利益剰余金168億円。バリバリの黒字経営だ。売上高は非開示だが、セコマグループの売上高は2000億円程度とみられている。

 規模では大手3社に及ばないが、人口減や過疎化のなかで、したたかに生き抜くセコマの姿は、転機を迎えたコンビニの今後の可能性のヒントになる、と高い評価を得ている。

コンビニはPB商品を競い合う

 コンビニの棚には、PB商品が所狭しと並んでいる。セブン&アイ・ホールディングスに異変が起きた。PB商品「セブンプレミアム」の売上高が2021年度上半期(3~8月)に初めて前年実績を下回り、通期でもマイナスになることが避けられない見通しだ。なぜ、「セブンプレミアム」はマイナス成長に転じたのか。コロナ下で、消費行動の変化への対応が遅れたのだ。21年2月期にPBで国内最大規模に成長したとたん、転落が始まった。

「セブンプレミアム」の主戦場はコンビニのセブン-イレブン。1人、あるいは2人の少人数世帯向けに商品を設計しており、小容量のサイズが多い。だがコロナ下の日常で売れ筋となったのは大容量サイズや複数の商品が入ったマルチパックだった。

 そこで、セブンはアイテム数を8%カット。質や価格の観点からPB商品を見直し、「セブンプレミアム」を再び成長軌道に乗せることを計画しているが、前途は多難かもしれない。ファミリーマートもPB商品を刷新する。売上高に占めるPB商品の比率を現在の30%から24年度末までに35%に引き上げる。複数あるブランド名を22年春までに新ブランド「ファミマル」に統一し、商品数も増やす。

 20年、ローソンのPB商品のパッケージがお洒落なものにリニューアルされたが、「わかりづらい」とネット上で炎上した。そのためパッケージデザインを刷新した。コンビニは利益率の高いPB商品を競い合う場面から、どう変化するのだろうか。そのヒントはセコマのPBにあるのかもしれない。

BusinessJournal編集部

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