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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

中尾明慶が罹患した頚椎症性神経根症とは?首から腕に痛み、日常生活に支障も

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
仲里依紗との結婚9周年を発表した中尾明慶
中尾明慶・仲里依紗夫妻(中尾明慶Instagramより)

 俳優の中尾明慶(33)が自身のYouTubeで、首から右腕にかけてしびれや痛みに悩まされ、上を向いた時に痛みを感じたため病院で検査をしたところ、「頚椎症性神経根症」と診断されたことを明かした。中尾は2~3年前にも同様の症状があり、薬を服用するなどの治療を行っていたという。

 中尾の報告によって、頚椎症性神経根症という病気を初めて知ったという人も多いだろう。頚椎症性神経根症について、北海道札幌市にある福住整形外科クリニック院長の亀田和利医師に詳しく聞いた。中尾と同じような症状があるという人は、ぜひ参考にしてほしい。

頚椎症性神経根症とは

 中尾はYouTubeで自身の症状について、上を向くことがつらく上の物を取ることもつらいと、話している。この症状こそ、頚椎症性神経根症の特徴的な症状の一つだという。

「中年から高齢の方に多く、首の後の部分から肩甲骨にかけて痛みが出ます。また、首を後ろにそらした時に痛みが強くなる傾向があります。片方の腕から手にかけての痛み、しびれが出ます。酷くなると上肢に力が入りにくなったり、手の感覚が鈍くなります」

 中尾は自転車やバイクの愛好家だが、痛みのため乗れない日が続いているというように、頚椎症性神経根症によって日常生活に支障が出る人も多いようだ。

「頚椎(首の骨)のクッションである椎間板は、加齢とともにヒビが入ったり、徐々に潰れたりすることがあります。この加齢変化が進むと、通常の椎間板の働きが機能せず、骨棘という骨の棘が出てきて、頚椎の安定性を守ります」

 骨棘が出ることによって頸椎のズレを防ぐが、逆に骨棘が頚椎症性神経根症の原因になることもあるという。

「この骨棘や傷んだ椎間板が、脊髄の神経の枝である神経根が通る椎間孔を狭くしてしまいます。首に負担がかかるときに、この狭くなった神経根に炎症が起こり、頚椎症性神経根症という症状が出てきます」

 中尾は自身の姿勢の悪さが原因の一つかもしれないと話しているが、その不安通り、姿勢の悪さが、頚椎症性神経根症の大きなリスクとなる。

「長年の不良姿勢が続くとストレートネックになり、また頚椎に負担のかかる運動や仕事などで、この加齢変化を早める可能性があります」

治療法と予防法

「頚椎症性神経根症は、通常は保存的治療で自然に治る疾患です。気長に治療していれば数カ月で治癒することが多い病気です。腕から手の筋力低下が進行した場合や、強い痛みで仕事や日常生活が困難な場合が続く場合、手術治療を行う場合もあります」

 保存療法は、症状によっていくつかの治療法を組み合わせることもあるという。

「保存療法には、頚椎カラーを用いた首の装具療法、薬物療法などが選択されます。また、温熱療法などの物理療法なども併用することがあります。さらに、痛みがコントロールできない場合、神経ブロックを行うこともあります」

 それぞれの治療法の特徴は、以下の通りである。

○装具療法…頚椎カラーを使用し、首の安静を保ち、不良姿勢の矯正を行うことができ、痛みの軽減が期待できる。

○薬物療法

①非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)…痛みの軽減。

② 神経障害性疼痛薬…ビリビリする鋭い痛みや痺れなど神経の痛みを軽減。

③筋弛緩薬剤…首周りの筋肉の突っ張り感を和らげ、痛みを軽減。

○神経ブロック…首周りに局所麻酔薬を注射し、痛みを軽減。トリガーポイント注射は、首の痛みが強い筋肉(トリガーポイント)に注射をし、痛みを取る治療法である。そのほかには、神経根ブロックや硬膜外ブロック、星状神経節ブロックなどがあり、一部の脊椎外科の専門医やペインクリニックなどで実施されている。

○牽引療法…顎あたりにベルトを掛けて、頚椎にかかった圧力を軽減し、また首の不良姿勢を矯正することで、痛みを軽減する。牽引の方法によっては、症状が増悪することがあり、必ず主治医の支持に従い行うことが重要である。

○物理療法…ホットパックなど首の周りを温めて、血流を良くし、筋肉の突っ張り感を軽減させる。

○理学療法(運動器リハビリテーション)…理学療法士などのセラピストが、一人ひとりにあった痛みの原因を確認し、不良姿勢を直し運動を行い、根本的な原因の改善を目指して治療を行う。

 医師と相談し、根気よく治療を続けることが大切であり、同時に予防を心がけることも重要である。

「基本的には、首を後ろに反らせることを避けてください。また、背中を丸めて首に負担になる姿勢や長時間のうつむき姿勢、重いものを持つ作業を避けることも心がけてください。寝るときの体制も見直す必要があります。うつ伏せや枕が高すぎたり、低すぎることも首に負担がかかります」

 また、リモートワークにより、PCを使用する時間が長くなる傾向にある人が多くいるだろうが、上を向く作業を長くすることも首に負担がかかるため適度に休むことを心がけてほしい。

 普段から頚部に負担がかける姿勢をとることが多く、上を向くことがつらいなど頚椎症性神経根症に当てはまる症状があるという人は、早めに整形外科を受診することをお勧めする。また、姿勢と健康は大きく関連するともいわれる。普段から正しい姿勢を心がけることも大切だろう。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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