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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

容姿の美醜で収入にも格差?男性の間で美容ブーム、「仕事が円滑に進む」との声も

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
容姿の美醜で収入にも格差?
見た目が仕事にも影響を及ぼす?(「Getty Images」より)

 長引くコロナ禍で、我々の生活習慣は大きく変わった。リモートワークが一般化するなか、ビジネスパーソンたちにある変化が起きている。それは、男性の美容への意識の変化である。

 リモート会議に映し出される自分の顔を見て、『自分が考える以上に髭の剃り跡が肌荒れしていて清潔感に欠ける気がした』『目元のシミが老けた印象になっている』など、これまで気にしていなかった肌トラブルや老化に気づくきっかけになったという男性も多い。

 そういった背景から、男性の間で「美容ブーム」が起きている。今後、男性美容に取り組み、身嗜みを整えることが新たなビジネスマナーとなっていくと予想される。

 その一方で、男性美容は気後れするという男性もいることは否めない。そんな方々に参考になるよう、男性が行うべき美容医療について大阪府豊中市の千里中央花ふさ皮ふ科院長・花房崇明医師に話を聞いた。

美貌格差は存在する

 日本でも2015年に翻訳・出版された米労働経済学者ダニエル・S・ハマーメッシュの著書『美貌格差』が話題となった。そこには「容姿の美しさに伴う生涯収入の格差は最大2700万円になる」とある。日本でも美貌格差を意識し、美容に時間とお金をかけるビジネスパーソンが増えているのだ。

「私個人の見解としては、仕事においては、スキルが高いことが大前提だと思いますが、アメリカでは喫煙や過度の肥満は自己管理ができていないとの印象を与えるとして、ビジネスマンの健康意識は高い傾向にあります。日本でも、就職活動の際には男性も身嗜みに気を配りますし、誰もが仕事において外見が与える影響は大きいということを意識しているのだと思います」(花房医師)

 実際に、美容に取り組むビジネスパーソンにも変化が起きているという。

「当院でも患者さんからの要望が多く、男性の美容医療を行っており、10~20代の男性は、ニキビ治療などをきっかけに美容医療を始める方が多い傾向にありました。最近では30~50代の男性からも問い合わせが多くあり、髭脱毛やピーリング、シミ・イボ治療などを行う方が増えています」

アンチエイジングが自信につながる

 美容医療に通う男性からは、アンチエイジングによって仕事が円滑に進むという声も聞かれるという。

「一昔前なら、外見的老化を気にする男性は少なかったと思いますが、よく聞かれるのがリモートワーク時に、ご自分の顔が思っていたよりも老けていたという声です。男女問わずではありますが、加齢に伴い、顔のシミやイボができやすくなり、年齢よりも老けた印象になってしまうことがあります」

 健康に影響するものではないが、老化に伴うシミ・イボに悩む人は多い。

「加齢に伴い、顔や体にシミ・イボができることがあり、代表的なものは老人性色素斑、脂漏性角化症や軟性線維腫などがあります。老人性色素斑は紫外線によるシミです。脂漏性角化症は老化や紫外線が原因でできる良性のイボで、40代以降に多く出現する傾向にあります。老人性色素斑が進展して脂漏性角化症になることが多いといわれています。

 軟性線維腫はアクロコルドンとも呼ばれるイボで、褐色や茶色で皮膚表面から少し飛び出すような形状です。イボが目立つので気にする方が多いですね。シミもイボもレーザー治療によってキレイに取り除くことができ、印象が若々しくなります」

 レーザー治療は自由診療であるが、施術を受ける男性が増えている。

「シミやイボをとった多くの男性から、自信を取り戻し、仕事でも人間関係が円滑になったという感想を頂いています。若い世代では、美容に気を使い、化粧をする男性も珍しくありません。レーザー治療を行った40~50代の男性患者さんからは、そういった若い世代の風潮を理解できるようになったという声も聞かれます」

体臭も治療できる

 汗や体臭に関しての悩みを抱える男性も多いが、治療できることは広く知られていない。

「汗や体臭に関する相談も増えています。ワキ汗(多汗症)やワキガはビジネスに限らず、人間関係や恋愛にも影響することもあり、長年、悩んでいたという方が多くいます。ワキ汗はエクリン汗腺の過剰分泌が原因です。ワキガのニオイの原因はアポクリン腺から分泌される汗の酸化が原因です。ワキ汗もワキガも治療可能です。保険診療でも治療できる場合もありますし、自由診療が適している場合もありますので、ぜひ相談してほしいと思います」

 身嗜みには「人に不快感を与えないように、言動や服装を整えること」という定義があり、人が感じる不快感は、時代によって変化するといえるだろう。令和における身嗜みでは、臭いに関するケアが重要視される傾向にある。汗や体臭が気になるという人は、一度、美容クリニックを受診してみてはいかがだろうか。

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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