日銀は23日、前日に続き金融政策決定会合を開き、マイナス金利や長短金利操作を含む大規模金融緩和策の維持を全員一致で決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現について「確度は引き続き少しずつ高まっている」と指摘。賃金と物価がともに上昇する「好循環」が強まれば、マイナス金利を含む緩和解除の「是非を検討する」と強調した。
大規模緩和からの「出口」時期の判断では、24日に事実上スタートする今年の春闘で、大企業に続き中小企業にも賃上げが波及するかが重要な材料となる。3月中旬の大企業による集中回答日後の3月18、19日には、日銀は次回の決定会合を開催。植田氏は「賃金や経済、物価のデータもある程度出てくる」と指摘した上で「新しく入る情報をもとに(緩和解除の是非を)適切に判断していく」と述べた。
中小企業への賃上げの波及度合いに関し、日銀は今月11日の支店長会議で点検した。ただ、植田氏は、賃上げの水準や広がりを巡る不確実性は「昨年ほどではないが高かった」と評価。慎重に見極めていく姿勢を示した。
市場でマイナス金利解除を決めるとの観測が高まっている4月会合については「3月に比べれば情報量が増える」と述べた。
日銀がマイナス金利を解除した場合、2007年2月以来、17年ぶりの利上げとなる。広く経済に大きな影響が及ぶため、植田氏は「大きな不連続性が発生する政策運営は避ける」と強調。解除後も「極めて緩和的な金融環境が当面続く」と述べ、急速な利上げを想定していないことを示した。
植田氏はまた、能登半島地震の日本経済への影響について「サプライチェーンや消費マインドには大きなマイナスは確認してない」とした上で、今後も丁寧に影響を分析すると説明した。
日銀は同日、最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表。消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率見通しについて、24年度は前年度比2.4%(昨年10月時点は2.8%)に下方修正した一方、25年度は1.8%(同1.7%)に引き上げた。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/01/23-20:00)