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木下隆之「クルマ激辛定食」

新型カローラクロスに見る、トヨタの思想…サニー見切った日産と対局のブランド観

文=木下隆之/レーシングドライバー
新型カローラクロスに見る、トヨタの思想…サニー見切った日産と対局のブランド観の画像1
新型「カローラクロス」

 トヨタ自動車の新型「カローラクロス」が誕生した。その名の通り、大衆色の強いカローラをベースに、クロスカントリー性能を予感させるフォルムとなった。ボディスタイルはSUV(スポーツ用多目的車)のように躍動的であり、ルーフがテールエンドまで延長されたことで広大な荷室を確保。キャンプサイトやゲレンデへと、行動範囲を一気に広げる。

 ただ、基本骨格はカローラの流儀になっている。プラットフォームはGA-Cと呼ばれるTNGAであり、パワーユニットも直列4気筒1.8リッターを基本にガソリン仕様とハイブリッド仕様を並べる構成である。エクステリアデザインにはアクティブな特徴があるが、インパネを含めてインテリアの造形も共通している。

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 これによってカローラブランドは、同じ素材をつくり分けることで6種の派生モデル群となった。「カローラ」「カローラアクシオ」「カローラツーリング」「カローラスポーツ」「カローラフィールダー」、そして「カローラクロス」である。

 なぜ、トヨタはこれほどカローラに豊富な派生モデル群を形成させるのか。理由は、デビュー以来脈々と受け継がれてきた思想にある。1966年に初代が誕生して以来、常にユーザーの期待を超える「プラスアルファ」思想を掲げてきたという。これまで累計5000万台という驚異的なモデルを生産してきた。年間にして120万台から130万台。時間にして10秒から15秒に1台、世界150カ所以上の国のどこかでカローラブランドのどれかが誰かのガレージに収まっていく計算だという。それほど愛されるには「プラスアルファ」の思想が欠かせないのである。

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 カローラには、ピュアスポーツの代名詞となった「カローラレビン」がラインナップしていた。今でこそ「トヨタ86」の名によって独立したものの、かつては「AE86」の型式名から「ハチロク」と呼ばれ愛されてきた。

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 その一方で、コンパクトハッチバックの兄弟車「カローラ2」や、コンパクトミニバンの「カローラスパシオ」が存在していた。そのほか、カローラを母体にした派生モデルを列挙したらきりがない。その時代固有の流行を読み取り、バラエティ豊かな種々構成を実現してきた。今がクロスカントリーブームだと読み「カローラクロス」を投入。それが「プラスアルファ」思想の具体なのである。

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 ライバルメーカーの間で、伝統的なブランドを潔く絶版にする風潮があるのとは対照的だ。たとえば日産自動車は「サニー」ブランドに早々と見切りをつけ、その役割を「ティーダ」に譲った。トヨタは目測を見誤ることなく、長寿ブランドでありながらも新鮮味を失わせず、育て上げているのである。

 カローラブランドが誕生したから、すでに55年が経過した。だが「プラスアルファ」思想を貫く限り、カローラは常に時代に寄り添いながら販売され続けていくに違いない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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