アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は4月27日(米国時間)、第2四半期(1~3月)決算を発表したが、Apple Watchの販売予測データを明らかにしなかった。関連する質問には直接的な回答を避け、「顧客は圧倒的な好反応を示している」と述べるだけにとどめた。現時点でもアップルは正確なApple Watch販売台数を公表していないため、売れ行きは不明である。
アップルは売り上げの70%をスマートフォン(スマホ)のiPhoneで得ており、決算報告書でApple WatchはiPadなどとともに「その他」に分類されている。Apple Watchが爆発的な売れ行きを見せない限り、販売台数についての詳細な発表は期待できないかもしれない。
Apple Watchには3モデルあり、最も安いSportで4万2800円から。Apple Watchは6万6800円から、Editionは128万円からとなっている。Editionで最も高価なモデルは218万円で、18カラットのゴールドの枠、サファイアクリスタル製の画面、電磁誘導充電器を内蔵したカスタムレザーボックスが付随しており、贅を極めたデザインだ。発売時に話題になった。
iPadでは大きく予想外す
日本には、日本証券アナリスト協会の会員であるアナリストが2万5650人もいる。決算などで会社側の発表数字がアナリスト予測を下回れば、マーケットでは売り材料になるなど、アナリストは株価を動かす力を持っている。
Apple Watchの販売台数予想では、アナリストの眼力が問われている。アップルが初めて挑む分野であり、かつスマートウォッチにどの程度の市場規模が見込まれるのかわからないためである。米国の著名なアナリストたちは、Apple Watchの販売予測に挑んでいる。
「アナリストが予想する2015年のApple Watch販売台数は少なく見積もっている人で800万台、多く見ているアナリストで4100万台。平均では2260万台というのが大方の予想ということになる」(米誌TIME <3月9日号>より)
今後、数年のうちに販売が加速し、17年には4000~5000万台に達すると予測するアナリストもいる。TIMEは「Apple Watchのような初物商品を、アナリストは正確に予測できないのではないか」と疑問を投げかけている。同誌は、10年にアップルがタブレット端末iPadを発表した時のアナリストの予想と実際の販売台数を比較している。当時は「iPhoneが大きくなっただけのiPadは売れない」との見方もあり、懐疑的なアナリストが多かった。
「iPadが発売された最初の四半期である2010年第3四半期のアナリストの販売台数予測の平均は310万台。ところが、実際はアナリストの予測の2倍、750万台販売された」(同)
これだけ実売と乖離すると、予測の意味はなくなる。初物商品の予測はそれほど難しいということだ。今後Apple Watchの販売台数が公表されれば、アナリストたちの予測数値がどれだけ当たっているのか、もしくは外れていたのかが明らかとなる。実際の製品の売れ行きとともに、こちらも興味深い点といえよう。
(文=編集部)