米調査会社のスライス・インテリジェンスがまとめたリポートによると、米国内販売が1日当たり2万本前後で推移し、6月後半には3000~5000本程度にまで落ち込んでいるという。
さらに、販売されたアップルウオッチの3分の2は価格が安く利幅の薄いスポーツバージョンだという。アップルは、18金を使用した1万ドル(約120万円)以上もする超高級なエディションモデルも発売したが、その売り上げは2000本足らずとみられている。
アップルは従来の商品について、販売数値を公表してきたが、なぜかアップルウォッチに関しては具体的な数値指標を公開していない。そのため、アナリストたちがさまざまな憶測を述べている。今後の販売予測については多少のバラつきはあるものの、一様に当初見込みよりも下方修正しており、悲観的な見方が広がっているといえる。
日本においても正確な販売台数を示すデータはないが、似たような販売動向だと考えられている。
アップルの新製品が発売されると、常に一定数のアーリーアダプター(新商品を早期に購入する層)が購入するため、アップルウォッチにおいても発売初週の出だしはよかった。しかし、事前の期待値が高かったにもかかわらず、その期待に応えられる完成度ではなかったことが不振の原因ではないだろうか。
実際、ユーザーやアナリストたちの評価は高くない。ウエアラブルコンピュータという新たな分野の商品で発展途上にあることを差し引いても、購入によるメリットよりもデメリットを大きく感じているようだ。
アップルウォッチの不満
では、具体的にアップルウォッチのどのような点が不評なのだろうか。
まず、バッテリーが長持ちしない点が挙げられる。頻繁に操作しない限り、朝から晩まではもつが、毎日充電しなければならないのは間違いない。アップルウォッチはiPhoneと連動させることが前提なので、ユーザーはiPhoneを所持しているだろう。そのiPhoneは毎日充電しているとしても、腕時計も毎日充電しなければならないというのは、なかなか受け入れられないのではないか。省電力化、充電容量の増大が必須だろう。
また、時計が常時表示されているわけではなく、腕の動きを感知して表示されるのだが、若干のタイムラグがあることや、腕をちょっと傾けた程度では表示されないこともあるなど、時間を知りたいときにストレスを感じる場合があるという意見も多い。
さらに、購買意欲をかき立てるような、有用なアプリがまだ少ないというのも一因だろう。ゲーム機などの電子機器は、ソフトの人気に支えられることが多い。アップルウオッチにおいても、消費者が心を揺さぶられるようなアプリが出てくれば購入者が増える可能性はある。アップルウォッチ専用のアプリは続々と開発されてはいるが、「そのアプリを使いたいからアップルウオッチを買う」と思わせるまでのものはないのが現状だ。
そして、最大のネックは値段が高いことだろう。もちろん、発売前から値段は明らかになっていたが、性能が明らかになるにつれ、釣り合いが取れていないと判断する消費者が増えているのではないか。最も安価なスポーツバージョンでも税別4万2800円からで、気軽に手を出せる価格ではない。
多くの消費者はまだ様子見をしているとみられ、今後、改良を重ねられれば次世代以降のバージョンで普及する可能性はあるが、今世代のアップルウォッチが売り上げを回復するのは難しいかもしれない。
(文=編集部)