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宅配便、荷物に手紙を添えると違法の恐れ?

文=編集部、協力=山岸純/AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役・弁護士、渡部 貴之/弁護士
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宅配便、荷物に手紙を添えると違法の恐れ?の画像1クロネコヤマトの宅急便の配送車(「Wikipedia」より/Tennen-Gas)
 利用者から好評を得ていたヤマト運輸のクロネコメール便が、「知らないうちに信書を送って(違反して)しまうリスクを防ぐ」という理由で、3月31日をもって廃止になった。

 しかし、メール便がなくなっても、ヤマトが展開する「宅急便」をはじめとした宅配便サービスで、「手紙」など信書に該当するものが同送されている可能性は高い。そのため、一部では「宅配便は違法ではないか?」と指摘されているが、実際はどうなのだろうか。

 AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役の山岸純弁護士と渡部貴之弁護士は、次のように解説する。

「『信書』は、総務大臣の許可を受けた『信書便事業者』に限って、その送達業務を行うことが認められており、『信書便事業者』以外の者が送達業務を行った場合、郵便法が規定する罰則が適用される可能性があります。ここでの『信書』とは『特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書』を指し、手紙やはがきなどが該当します。そうすると、宅急便を利用して『手紙』などを送る業務を引き受けた場合、郵便法第4条3項に違反することになり、頼んだ側も頼まれた側も罰則の適用を受ける可能性があります。しかし、息子に柿を送る際、『あなたの大好きな庭の柿が熟したので送ります』というメモ書きを入れた場合にまで罰則が適用されるのは、おかしな結論といえます」

 そういった不都合を避けるため、郵便法第4条3項は、但書にて「ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りではない」と規定している。つまり「貨物」という郵送する主体があり、その郵送に関する説明書きなどが記載された文書が「従として添えられている場合」には、同項に違反しないことになっているのだ。(総務省の「信書に該当する文書に関する指針」P9参照)。

「先ほどの例では、柿という郵送主体があり、さらに息子への仕送りであることを示すためにメモ書きを入れていると考えられるので、このメモ書きは『従として添えられている場合』として、このお母さんは郵便法に違反しないことになります。そのほか、送付に関して添えられる簡単な挨拶文も添え状として郵便法に違反しませんが、送付する貨物とまったく関係ない事項の連絡のための手紙等を同封した場合は『従として添えられている場合』を超えて、郵便法に違反する可能性が生じるので、気をつけなくてはいけません」(山岸弁護士、渡部弁護士)

 信書の定義はあまりにややこしいが、知らぬ間に郵便法に違反しないよう注意したいものだ。
(文=編集部、協力=山岸純/AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役・弁護士、渡部 貴之/弁護士)

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