セブン、サントリー“切り”加速か 新浪社長の挑発がアダ、メーカーのセブン依存強まる?
コンビニとメーカーの関係は、どう変わる?
このようにしのぎを削り合っているコカ・コーラやサントリーと大手コンビニのWチョップ商品開発は、商品を見る限りお客を徹底的に分析して商品化したものとは感じられず、コンビニコーヒーによって売り上げが落ちた分を補うための安易な対応といわざるを得ない。
大量の広告宣伝によって商品の告知をして、お客の支持を得て販売につなげるというセオリーが通用しなくなった今、2メーカーの選択がWチョップ商品開発という結論だったのだろう。したがって他メーカーは、コンビニのお客と向き合った商品開発をすれば、支持を得て今までの勢力図を塗り替えるチャンスかもしれない。
日本経済新聞の調査では、14年のセブンの売上高は約4兆円で、ファミマが約2兆円、ローソンが約1兆9600億円となり、売り上げ2位の座が入れ替わった。ただ、セブンの独り勝ちは鮮明で、独走を止めるためにはファミマとサークルKサンクスの合併しかないのだろうか。
コンビニで売り上げ構成比が高いといわれるソフトドリンクで、大手メーカー2社が取っている戦略は、他のカテゴリーも含め、今後のコンビニとメーカーの関係を示唆するものになると思われる。
「おごる平家は久しからず」――セブンとメーカーの関係がどのように変化していくのか注目だ。変化の鍵は、メーカーが革新的なNB商品を開発できるかどうかだろう。
コンビニでは、コーヒーに続いてドーナツで売り上げを伸ばしているように、国内の人口減をにらんで他業種への本格参入がさらに進んでいくものと思われる。一部コンビニチェーンでは、ファミリーレストランのようなフリードリンク用機械の導入を検討しているといわれている。個人的には、ペットボトルのゴミ処理問題を考慮すると、大変良い試みだと思う。
日本人の飲料習慣は、コンビニや自動販売機の進化とともに、家庭で水やお茶を飲むというスタイルから、外でも缶やペットボトルの飲料を気軽に飲むように変わってきた。今後も、日本人の生活に大きな影響を与えるであろうコンビニの動向から目を離すことができそうにない。
(文=法理 健/流通ジャーナリスト)