加速度的に“脱・日本企業化”する日本企業 外国人採用、英語公用語化、実力主義人事…
味の素でも今年、西井孝明氏(55歳)が7人抜きで社長に昇格している。これも同社としては画期的な決断であろう。
また、外国人のトップマネジメントへの登用も急である。昨年、武田薬品工業が長谷川閑史氏の後任として、クリストフ・ウェバー氏(48歳)を社長兼COO(最高執行責任者)に迎え入れた。ウェバー氏は今年4月1日付でCEO(最高経営責任者)に昇格し、経営の実権を握った。武田のトップマネジメントの多くが外国人であることはすでに知られているが、経営トップにも外国人を据えたわけである。
グローバルレベルでの生き残りをかける武田としては、極めて合理的で正しい選択だ。トヨタ自動車も今年度の経営体制変更で、ディディエ・ルロワ氏(57歳)を副社長に昇格させている。タカラトミーでは、副社長のハロルド・メイ(51歳)氏が社長に昇格している。最近では、ソフトバンクの孫社長が後継者として元グーグルのニケシュ・アローラ氏(47歳)を副社長に迎え入れている。
その一方で、トヨタのジュリー・ハンプ氏の麻薬保持容疑による退任、武田のフランソワ・ロジェCFO(最高財務責任者)や日産自動車のアンディー・パーマー副社長が他社から引き抜かれたことなどを挙げて、外国人のトップマネジメントへの登用リスクを強調する論調もある。しかし、もちろんハンプ氏のケースは除くが、こうした引き抜きはグローバルレベルのトップ人材市場では想定内である。
加えて、実質的な事業本部機能、本社機能の海外移転も進んでいる。10年にシンガポールへコンテナ船事業本部の機能を集約した日本郵船や、11年にCEO室を同国へ移転したHOYA、13年に金属資源関連事業を同国へ集約した三菱商事は、例外的ではなくなるであろう。
成否の分かれ目
このようにグローバル化による事業環境変化に対して急速な適応を図ろうとする日本企業であるが、その成否の分かれ目はなんであろうか。
例えば、監査等委員会設置会社への移行を、監査機能を取締役会に取り込むという同制度の本質的な意味合いを理解せず、とりあえず「右に倣え」的に取り入れるようでは意味がない。社外取締役の数あわせなどでお茶を濁したり、お付き合い程度に国際会計基準を導入するような企業も、環境に適応するのは難しいであろう。
また、前述のとおり予測可能性が低下し、変化し続ける事業環境においては、選択肢を多く持つために組織は多様化していかなければならない。同質的な居心地の良い、多様化を拒否する組織では、生き残る可能性は明らかに低下する。