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2023.06.20 18:50
2019.08.15 20:00
阿部誠「だまされないマーケティング…かしこい消費者行動:行動経済学、認知心理学からの知見」
スーパーなどの「最低価格保証」、顧客が損をしている可能性?“暗黙の価格カルテル”
このように、特定の流通経路のみで販売する目的で、同等、あるいは非常に類似した製品に対して独自の品番をつけることをブランデッド・バリアントと呼びます。メーカーに依頼してこのような商品の仕様を製造してもらうためには、小売店側の販売数が十分である必要があります。そのため、大手家電量販店やホームセンターのようなチェーン店、通信販売会社などでないと提供できません。
小さな仕様の違いでも、消費者がそこに価値を見いだしたり気にしたりすれば、価格が少しばかり高くても専用モデルが買われるでしょう。また近年では、消費者は買い物の前に、価格ドットコムなどのインターネットの価格比較サイトなどで、価格チェックをする傾向にあります。
そこでは価格の安い順に店舗が表示されるので、店による価格差は明白です。同じ商品ならば安いほうがいいと、多くの消費者はリストの上のほうの店舗から購入します。しかし型番やモデルナンバーの違う商品を取り扱えば、その店舗の販売価格は比較リストに載らないため、他店と価格を比較されることもありません。
つまり流通経路専用モデルの目的は、チェーン間での差別化をすることによって製品の比較を難しくし、チェーン間の競争を和らげることなのです。賢い消費者は、ブランデッド・バリアントの存在をしっかりと見極めて、購買の判断を下すべきでしょう。
(文=阿部誠/東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
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