なぜ「安かろう、まずかろう」のかっぱ寿司買収?あの急成長企業、ついにマック超え!
コロワイドはすき家やマクドナルドのような看板となる有名チェーン店がないため、一般の知名度は低い。だが、外食業界内では「今もっとも勢いがある」といわれている企業だ。昨年12月にカッパを連結子会社化したことにより、2016年3月期は売上高2488億円を予想しており、国内外食業界売上高ランキングで前期の6位から一気に日本マクドナルドHDを追い抜き3位に急浮上する見込みだ(日本マクドナルドHDの14年12月期売上高は2223億円。15年12月期の売上高予想は未定。2000億円前後まで減少との証券アナリスト予想もある)。
コロワイドが00年10月に東証2部に株式を上場した時の売上高は約170億円。その頃はまだ、中小企業の1社にしかすぎなかった。ところがその後、外食産業では珍しい積極的なM&A(合併・買収)で急成長し、たった15年で売上高を約10倍に急拡大した(15年3月期売上高は1776億円)。この間に十数件ものM&Aを繰り返している。15年3月末現在、居酒屋「甘太郎」「北海道」、焼肉店「牛角」、ステーキ専門店「ステーキ宮」、イタリアンファミレス「ラ・パウザ」など56業態・2462店を展開している。
外食業界では基本的に「単一業態・大規模チェーン展開が成長のセオリー」といわれている。食材大量調達による仕入れコストダウンなど規模の経済性が働くからだ。ところが、それとは真逆の多業態・中規模チェーン展開(主要19業態の74%が100店以下)で成長を目指しているのがコロワイドの特徴といえる。
そんなコロワイドが社運を賭けて実施したといわれるのが、カッパの買収だった。買収総額も同社としては過去最大の261億円だった。
カッパ・元気、経営統合消滅の舞台裏
回転寿司2位のカッパと同5位の元気寿司の経営統合が発表されたのは、13年11月末のことだった。2期連続で最終赤字に沈むなど業績不振を続けるカッパの経営を建て直すため、両社の筆頭株主である米卸最大手の神明(神戸市)が描いたシナリオだった。神明の藤尾益雄社長がカッパの社長を兼任し、自ら経営統合を指導することになっていた。そのシナリオが突如消滅した。
業界関係者たちの証言を総合すると、その裏には次のような水面下の動きがあった。