1位:外食・その他サービス(-0.5%)
2位:その他小売(+12.8%)
3位:情報・ソフト(+2.6%)
4位:電機(+10.0%)
5位:不動産・住宅(-8.7%)
6位:陸運・海運・空運(+4.8%)
7位:ホテル・旅行(+2.6%)
8位:医薬品(-12.8%)
9位:マスコミ・出版・広告(-16.0%)
2位のその他小売(百貨店・スーパー以外の小売)には専門店が入り、ファッション、ジュエリーの販売や100円ショップなどでブラック企業偏差値の高い企業がけっこうあるが、内定者は2ケタ増。4位の電機は、電子部品業界の名の知れた大手メーカーにブラック高偏差値の企業があるが、内定者は2ケタ増。3位の情報・ソフトもシステム開発の企業を中心に高偏差値企業がゾロゾロあるものの、内定者数はプラスになっていた。
ブラック高偏差値企業が過去最多の内定者?
「ブラック企業はほんの一部だ」と口で言うのは簡単だ。日経の調査は「主要企業」が対象で、それらは規模が大きい企業が多いため待遇が比較的良く、「ブラック企業の槍玉に挙げられにくい」と解釈することもできそうだが、日経の解説記事を詳細に見ると、そうだとも言い切れない。
記事では採用に苦戦する業種として「住宅、外食、医療・介護」が挙げられていた。ワースト業種1位の外食・その他サービスは、22社の中に居酒屋チェーンなど外食企業が人材派遣業、人材関連サービス、教育産業などの企業とともに数多くランクインしている。また、外食の有名大手企業2社がとりあげられ、1社は計画を5割超下回り、1社は100人の計画に対して57人だったと報じられている。外食はイメージが悪いために敬遠され、大手でも苦戦しているようだ。
住宅はハウスメーカーの大手2社が採用内定数未達で、1社はまだ採用を続けていて2回目の内定式をすると報じられているが、この2社は「ブラック企業偏差値」の上位には入っていない。不動産・住宅はブラック企業業種別ランキングでは5位で、リフォーム関係を中心に7社に高偏差値がついており、そのイメージの悪さのとばっちりを受けた、ともいえそうだ。だが、同じ不動産・住宅で、日経記事の中で内定者が「4割の大幅な未達」と報じられている企業は、ブラック企業偏差値ランキングでは偏差値69となっている。これは「自業自得」だろうか。
もっとも、ブラック企業偏差値67でホテル・旅行の業種に属する有名企業は、日経記事では「女子学生の人気が高い」「15年春実績を10.1%上回る706人と、過去最多」と紹介されている。内定した学生は「人気の業種の人気の会社に入れるのなら、ブラック企業の噂なんか気にしない」ということなのだろうか。
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)