神戸市立東須磨小学校で男性教師3人、女性教師1人の計4人が、後輩の男性教員の目に「激辛カレー」を塗るなどの暴行やパワハラ行為を働いていた問題で、神戸市教育委員会が「ショックを受けた児童への対策として給食のカレーを一時中止する」と発表した。インターネット上ではあまりにも的外れな市教委の対応に一斉に批判が噴出。全国のカレー店からも「給食のカレー継続」を求める声が上がり始めた。
「カレーは悪くないです」
Twitter上では、次のような投稿が続いている。
「給食のカレーは悪くないです」(原文ママ、以下同)
「給食のカレーを助けてあげてください」
「給食のカレーに罪はありません」
投稿では各店自慢のカレーや各種インド料理の写真も合わせて掲載し、カレーの良さを猛プッシュしている。問題教員がカレーを使って暴行を働く動画は凄惨なものだった。そうした映像を見てしまった子供たちのケアも求める声もある。だが今回の件で「カレーそのものを嫌いにならないで」という声は今後も広がりそうだ。
カレー給食の歴史は古い。明治維新後、当時の政府は日本人の栄養改善の一環として西洋野菜を摂取させるために洋食化を進めようとしていたが、米に合わず失敗が続いた。そんな中、クラーク博士ら外国人教師が1876 年に札幌農学校で、日本の丼ぶり文化に着目しカレーを米にかけるライスカレー給食を学生たちに勧めたのがはじまりとされる。農学校では以後、1日おきにカレー給食が提供されたという。
食べて学べる世界と日本の歩み
江崎グリコやエスビーなどでつくる全日本カレー工業協同組合(東京都)の広報担当者は次のように語る。
「日本のカレー給食は、食べることで子供たちが世界の歴史や日本の歩みを知ることができる食育に適した料理だと考えています。カレーの原料のスパイスを求めて大航海時代がはじまり、イギリスの海洋覇権の成立、日本の開国を経て、カレーがもたらされました。
明治以降、多くの日本人料理人や事業者が欧風カレーの改良を続け、米にしみ込むとろみのある現在のカレーに仕上げていきました。手軽に大人から子供まで気軽に食べることができる国民食になりました。
戦後の給食では、最も子供たちが残さないメニューとして重宝され、日本の高度経済成長を担った世代を胃袋から支えました。ひとつの料理で、ここまで子供たちに語ることのできる料理はそうそうないと思います。教員の皆さんにはそんな大切なメニューであることをわかってほしいです」
加害教諭らは今でも有給を使って休暇中で、市教委の処分はまだない。カレーの教育的な有用さを知らず、あまつさえ食べ物を粗末に扱い、自分たちの気晴らしの道具としか考えられなかった加害者らに、教員の資質がないことは明白だろう。
(文=編集部)