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2013年の経済界を展望する(3)

パワービルダー6社統合で住宅業界激変! 激安住宅があふれる!?

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 飯田氏は1970~80年代の成長期に支店開設に近い形で子会社を設立する一方、他社を買収してきた。バブル時代にプレカット工法でローコスト住宅を作る技術を確立したという。在来工法は建設現場で大工が木材の鉋削りから始めて家を造るが、プレカット工法は大工不要である。日曜大工でも扱える程度の建築用材をあらかじめ製材工場で作っておき、現場でプラモデルの要領で組み立てて家を造る。朝に部材を持ち込み、夕方に組み立てを終える。大幅に工期を短縮して、安い価格住宅を送り出した。

 バブル崩壊で飯田建設工業が債務超過に転落したため、90年代に実力ある社員がのれん分けの形で独立し、上場企業にまで育て上げた。各社には飯田一男氏の一族や、飯田家の資産管理会社の樹(いつき)商事、一商事が大株主として名を連ねている。

 業界では一建設、アイディ(ID)ホームやアーネストワン。樹商事、一商事の社名は、飯田氏の名字(飯田のIIDAのIとD)や名前(一男の一、ワン)に由来するといわれている。

 飯田氏がグループの大同団結を決断したのは、住宅市場の低迷が背景にある。11年(暦年)の新設住宅の着工件数は83万4117戸で、戦後最高だった73年の191万戸の4割程度。12年(同)は東日本大震災の復興関連や14年4月に予定されている消費税増税前の駆け込み需要で久々に100万戸を上回るが、その後は駆け込み需要の反動で着工戸数は大きく落ち込むとみられている。大手がパワービルダーの主要顧客である土地を持たない若年層に向けて販売攻勢をかけたことから、大手とホームビルダーの棲み分けがなくなり、競争が激化したことに対する危機感がある。

 のれん分けしたとはいえ、各社のトップは一国一城の主で、自力で上場会社にしたという自負がある。競争し合った方がお互い伸びるとの考えから、これまで、各社は交流もなく、現場では激しく顧客を奪い合ってきた。飯田氏の“鶴の一声”で統合が決まったとされるが、持ち株会社の名称や代表者、役員などは未定。経営統合の比率を今後、詰めるという。

 一建設が中核になるが、6社は、最終ゴールとなる経営統合にまでこぎ着けることができるのだろうか? 統合交渉の過程で、各社のトップの利害が対立して空中分解してしまう可能性がないとはいえない。パワービルダーの生みの親、飯田一男氏のリーダーシップが問われることになる。

 6社連名のリリースによると、住宅市場の縮小や新規参入による競争激化など厳しい環境下、統合によるスケールメリットを生かし競争力を強化することを、統合の目的としている。

 パワービルダーが今回の経営統合で力をつけ、低価格志向がさらに強まると、売上高500億円規模の企業は存亡の危機を迎えると指摘するアナリストもいる。

 前代未聞ともいえる上場6社の大統合が、中小住宅会社の再編を促す呼び水になるかもしれない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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