(「飯田産業HP」より)
上場6社の経営統合発表が2012年年末の株式市場を席巻した。経営統合する6社の株価が急騰したのだ。一建設(東京・練馬区、堀口忠美社長、ジャスダック)、飯田産業(武蔵野市、兼井雅史社長、東証1部)、タクトホーム(西東京市、山本重穂社長、東証1部)、アーネストワン(西東京市、西河洋一社長、東証1部)、アイディホーム(西東京市、久林欣也社長、ジャスダック)がストップ高まで買われ、東栄住宅(西東京市、西野弘社長、東証1部)もストップ高まであと2円に迫る場面があった。
過去には日立製作所が上場5社を完全子会社化した例はあるが、上場6社による経営統合は前代未聞の出来事だ。
パワービルダーとは、床面積30坪程度の土地付き2階建て住宅を2000~2500万円程度の価格で分譲する建て売り業者を指す和製英語である。郊外の狭い土地に3~5棟の割安な住宅を建てて分譲する。住宅大手が供給する価格の約半分。購入層は年収500万円前後の1次取得者が中心だ。
駅から遠かったり、形状がいびつだったり、大手が取得をためらうような土地を買い、安い価格の住宅を建てる。大手が手を出さないので相対的に安いままの土地を仕入れる。資金の回転を早めるために1棟から15棟規模のものが建つ狭い土地を狙い、100棟以上の大型物件には絶対に手を出さない。売れ残りのリスクが高くなるのを防ぐためだ。
大手が進出しないスキ間を狙うのがパワービルダーの特徴だ。デフレが強まった90年代後半から、関東地方を中心に広がった。特に、07~08年にかけて首都圏で不動産のミニバブルがはじけ、カタカナ社名の新興不動産が次々と倒産した結果、都市近郊の住宅の供給が激減したことが追い風となり急成長を遂げた。
今日では、大手があなどれないほどの力をつけてきた。パワービルダー最大手、一建設の12年1月期の住宅供給戸数は7550戸で、売上高は2188億円。一建設を含め統合する6社の前期の実績を単純合計すると供給戸数は2万6383戸、売上高は7786億円になる。
これは住宅業界トップの積水ハウスの戸建て・分譲住宅(集合住宅・マンションは除く)の1万7325戸(12年1月期)、2位の大和ハウス工業の同9659戸(12年3月期)を大きく上回る。集合住宅・マンションを含めると4万戸を超える2強には及ばないが、戸建て・分譲住宅では堂々の業界首位に浮上するのである。
6社の中核は一建設。創業者である一建設会長の飯田一男氏は、メディアに登場しないので全く知られていない。有価証券報告書によると1938年1月11日生まれ。56年4月三田村建設に入社。63年4月建築請負業を始め、67年2月飯田建設工業を設立、社長に就任した。03年に社長を退き会長に。04年2月、飯田建設工業を一建設に商号変更。09年12月にジャスダック市場に株式上場した。