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ずっと赤字なのになぜか世界的に大注目のあの異端企業、ついに「大化け」の兆候

文=編集部
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 大和ハウス工業も15年5月から建設現場でHALを導入した。同社は07年2月にサイバーダインの第三者割当増資を引き受けて後、これまでに40億円を出資。今では筆頭株主である山海氏(発行済み株式の38.24%:15年9月末現在)に次ぐ第2位(同13.62%)の大株主だ。大和ハウスは上場前に引き受けた株式を議決権のないA種株に限るなど、「カネは出すが口を出さない」スタンスを貫いている。あくまで、HALの販売代理店という姿勢を崩さない。

先行する株価

 14年3月の上場当時、社長の山海氏は「来期(15年3月期)は売上高が今期(14年3月期4億5,600万円)の3~4倍、利益もブレイクイーブン(収支均衡)になりそうだ」と自信を見せていたが、業績は足踏み状態が続いた。

 15年3月期の売上高は6億3,100万円、最終損益は9億1,600万円の赤字。16年3月期も売上高は10億円、最終損益は6億円の赤字の見込みだが、『会社四季報』(東洋経済新報社の2016年新春号)では、売上高18億円、経常利益と最終利益は共にゼロの予想。16年が勝負の年になる。

 福島県郡山市に12億円を投じて工場を建設。HALを年間4,000~5,000台生産する計画だ。茨城県つくば市の本社では研究開発・実証エリアの拡充を検討している。

 14年3月26日、東証マザーズに上場した。この上場が特異な点は、ロボット先端技術の軍事転用を防ぐという名目で、上場株式の10倍の議決権をもつ種類株を設定したこと。上場後も山海氏の持ち株比率は議決権ベースで約9割を占める。他の株主が経営に介入することは事実上できない仕組みだ。

 この種の種類株は米IT企業のグーグルやフェイスブックなどが導入しているが、日本企業では初。種類株は投資家の買い意欲を殺がなかった。初値は公開価格3,700円の2.3倍の8,510円をつけた。サイバーダインは上場で30億円を調達した。

 株価対策を兼ねて2度の株式分割を実施した。上場直後の14年8月1日、株式1株を5株に分割した。議決権が普通株の10倍ある種類株も分割したので、議決権比率は変わらない。株式分割効果で株価は急騰した。さらに15年8月1日に1株を2株に分割している。

 一方、14年11月26日、欧州とアジアを中心とする海外市場で公募増資や転換社債型新株予約権付社債を発行して、410億円の資金を調達した。当時の売上高(14年3月4億5,600万円)の90倍の資金を調達したことになる。それだけHALに対する投資家の期待が大きいということの表れだ。

 HALが医療機器として正式承認を受け、15年12月9日に株価は1,975円の年初来高値をつけた。年初来安値の1,212円(8月25日)の63%高となった。

BusinessJournal編集部

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