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日本郵政、西室社長退任が濃厚に…完全に崩れた「上場」成長戦略、マイナス金利が直撃

文=編集部
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 対抗馬は日本郵便社長の高橋亨氏とみられている。日本郵政グループ各社のトップのうち、高橋氏だけが唯一、旧郵政省の出身だ。郵政省は郵政事業と電気通信行政を所管していたが、鈴木氏がNTT などの電気通信行政を担当したのに対し、高橋氏は郵便事業一筋だ。日本郵政発足当時から役員を務めてきた。

 政権交代の荒波にさらされ、旧郵政省出身の幹部たちが次々と表舞台から去った。その中で生き残ったのが高橋氏だ。永田町に強力な影響力を持つ全国郵便局長会(全特)と日本郵政グループ労働組合(JP労組)との交渉役を務め、郵便事業に精通していたことから日本郵便の社長に起用された経緯がある。

有力候補者のうち民間出身者は日本郵政副社長の曽田氏のみ

 日銀の「黒田バズーカ」第3弾であるマイナス金利導入は、ゆうちょ銀行の収益を直撃した。ゆうちょ銀行は運用資産の4割以上を日本国債で運用しており、国債の利回りが急低下したのだから、ひとたまりもない。ゆうちょ銀行の収益への影響度はメガバンクの3~4倍と指摘するアナリストもいる。

 ゆうちょ銀行の15年12月末時点の運用資産残高は205兆円で、そのうち国債は82兆円。日銀の黒田東彦総裁が打ち出した異次元緩和以降、残高を減らしてきたが比率はまだ40.8%もある。

 4月からは上限1000万円の貯金額が1300万円に引き上げられるため、今後間違いなく貯金は増加する。だが、ゆうちょ銀行に運用を多様化するノウハウはあるのだろうか。6月の日本郵政グループの株式総会で、「ゆうちょ銀行の資産運用方針を示せ」といった質問が出た場合には返答に窮するのではないか。

“天下り社長”では、難局を切り抜けられない。民間企業の経営者の起用が取り沙汰される理由は、これに尽きる。民間出身者で、現在、経営陣に加わっているのは副社長の曽田立夫氏だ。13年6月、三井不動産副社長から日本郵政の副社長に転身した。

 西室氏の前は2代続いて旧大蔵官僚がトップだった。一時、財務省事務次官を務めた勝栄二郎氏がポスト西室の有力候補に浮上したことがある。勝氏は12年に退官後、IT(情報技術)企業のインターネットイニシアティブ社長になっている。

 だが、民主党色を一掃した安倍晋三首相=菅義偉官房長官コンビが、民主党・野田佳彦内閣で経済指南役を務め、“影の首相”とまで呼ばれた勝氏を起用することはないだろう。

 果たして、ポスト西室の引き受け手はいるのか。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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