日本でも注目されるようになった無人航空機「ドローン」。米国ではアマゾンドットコムが2013年にドローンによる配送サービス「Amazon Prime Air」を発表したほか、グーグルも小荷物の物流に活用することを発表。日本では3月24日から一般社団法人日本UAS産業振興協議会が、産業用ドローンの展示会と国際コンファレンス、「ジャパン・ドローン2016」を千葉・幕張メッセで開催する。同協議会理事長で東京大学工学部教授の鈴木真二氏は、次のように語る。
「昨年、法律が整備され、ドローンが本格的に活用できるようになりました。そういう意味では、昨年はドローン元年、そして今年は産業用ドローンが本格的に動き出します」
すでに楽天やヤマト運輸がドローン宅配の事業化を検討しているという。ドローンとは、英語で「雄蜂」を指す言葉。第2次世界大戦前に英国軍が民間の趣味用ラジコン機を軍事用に転用できないかと考え、「クイーンビー」(女王蜂)と名付けて標的機として使用した。その後、米国でも同じようなものがつくられ、「ターゲットドローン」と呼ばれるようになった。現在は無人機を総称してドローンと呼んでいる。そして1980年代に入ると、今度は偵察機として使われるようになった。
「最初は目視できるような範囲で使われていましたが、90年代に入りGPSが活用されるようになると、さらに広い範囲で活用できるようになりました。動画の圧縮技術が進み衛星回線を使って動画を配信できるようになると、離れた場所から偵察できるようにもなりました。東京電力福島原子力発電所事故の際に使われていたグローバルホークは、ジェットエンジンを搭載しているので数百キロでも飛行可能です」(鈴木教授)
そして最近注目されているのが、産業用での用途だ。
「話題になっているドローンは、マルチコプターといってプロペラが複数ついており、研究者が90年代ぐらいから開発を始めました。2000年代になると、携帯電話などで使うリチウムポリマーというバッテリーの性能が非常に良くなり、電動での操作機能が上がり、空撮などでもその可能性は大きく広がりました」(同)
兆円産業の起爆剤
すでに日本では80年代に農林水産省が中心となり国家プロジェクトとして開発が進み、農薬散布ヘリで行われたものをドローンに置き換えるようなことが民間で行われている。ヤマハ発動機は農薬散布用のドローンを開発して、米国での販売を模索。ヤンマーは土に含まれる水分や酸性度を離れた場所から測るセンサーを装着したドローンの開発を進めている。
では、ドローンは日本の産業革命の起爆剤になるのだろうか。