郊外型カフェ、最大のメリットは高い客単価
また、郊外型カフェ急増の背景には、スターバックス コーヒーやタリーズコーヒーなど、シアトル系と呼ばれるアメリカ発のコーヒーチェーンによる地ならし、郊外に展開するコメダの「珈琲所コメダ珈琲店」や日本レストランシステムの「星乃珈琲店」の成功、“コーヒー界のアップル”とも呼ばれる「ブルーボトルコーヒー」の上陸がある。
消費者が求めるカフェのあり方が変化し、市場が活性化したことによって、ファミレスがカフェ業態に参入しやすくなったというわけだ。
「カフェ業態の最大のメリットは、ファミレスよりも客単価や利益率が高いメニューを提供できる点です。既存のブランドイメージに縛られない商品展開が可能になる上、コメダ珈琲などの先行組が切り開いた土壌にビジネスモデルを乗せていけばいいため、市場開拓のリスクを背負わなくて済む点も大きいです」(同)
すかいらーくグループでカフェ事業を展開するニラックスの崎田晴義社長は、郊外型カフェの業態が人気を集める一方、近隣の同グループ店の売り上げが落ちていないことに触れて、「グループ店のひとつをカフェ業態にすれば、これまでグループ店に来なかった客層がカフェを利用することになり、エリアのシェアを最大化できる」と語っている。郊外型カフェへの参入は、グループ店舗間の客の食い合いを防ぐメリットもあるのだ。
2016年2月現在、むさしの森珈琲は全国に3店舗、白ヤギ珈琲店は同5店舗と、まだ少ないものの、「今後はフランチャイズ展開も視野に入れて、店舗数を増やしていく可能性が高い」と山路氏は語る。
「ファミレス業界は今後も縮小が止まらず、代わりにカフェ業態にシフトしていくはずです。特に、すかいらーくやセブン&アイは、ファミレスの不採算店舗をカフェに転換していくことが予想されます」(同)
人々のライフスタイルの変化に敏感な飲食業界。あなたの街のファミレスも、いつの間にか、カフェに変貌を遂げているかもしれない。
(文=谷口京子/清談社)