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起業→上場で巨額利益という成功モデルの終焉…株式公開直後に暴落続出

文=編集部
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初値が公開価格を下回った銘柄群

※以下、銘柄(初値公開比下落率)

・ユー・エム・シー・エレクトロニクス(▲17.3%)
・アイドママーケティングコミュニケーション(▲14.6%)
・アカツキ(▲8.0%)
・ウイルプラスホールディングス(▲8.0%)
・フィット(▲7.9%)
・フェニックスバイオ(▲2.1%)

 上場した企業の3割に当たる上記6社の初値が公開価格を下回った。

 ユー・エム・シー・エレクトロニクスは3月15日、東証1部に新規上場した。初値は公募・売り出し価格(公開価格3000円)を17%下回る2480円。終値は2241円で公開価格を25%下回った。4月4日には2000円を下回り、終値は上場来安値の1972円となった。

 同社は自動車と産業機器の部品製造に強みを持つ。16年3月期の売上高は前期比1%増の1152億円、純利益は18%増の18億円の見込みだ。浮き沈みが激しいスマートフォン部品からは距離を置く。自動運転技術の開発が急速に進む中、1台の車に搭載する電子基板の数が飛躍的に伸びるとみており、積極的に受注先を開拓して10年後の売上高7000億円という高い目標を掲げている。

 東証1部に上場する銘柄は、すでに組織としてできあがった企業であり、収益力が投資の判断基準となる。その点、ユー・エム・シー・エレクトロニクスは収益力が低いため、初値が公開価格を大きく下回ったといえる。

 これに対して新興市場に上場する銘柄は、成長力が投資の判断基準になる。株価上昇の期待が高ければ高いほど、初値は公開価格を大きく上回る。その一方で、マネーゲームのカードになっているのが実態だ。高値で売り抜けるのが目的だから、ずっと初値を上回る銘柄は極めて少ない。

初値が天井、あとは下落するのみ

 15年の新規公開会社数は92社を数え、14年に比べて15社増えた。07年(121社)以来の高い水準で6年連続の増加となった。

 15年はIPO人気が健在だった。初値が公開価格を上回ったのは92社中82社と全体の89%を占めた。今年に比べ、かなり高い確率で株価が上がっており、このうち30社は初値が公開価格の2倍以上となった。

 IPO銘柄は初値で高値をつけた後は下落し、“初値一発勝負”で終わるのが一般的な傾向だ。IPO投資の要諦は、売り出しに応募して抽選で手に入れたプラチナ・ストックを初値で売り抜けることである。投資家の辞書に「長期保有」という言葉はない。

 昨年まではマネーゲームの一発勝負に賭けて、IPOの上場時に買いが殺到したため、初値は予想外に飛んだ。そして、その反動から急落に見舞われた。

 今年のIPO銘柄も、同様の軌跡をたどるのだろう。年明け以降の相場急落で、個人投資家の投資マインドは低く、新興市場には荷もたれ感が台頭している。
(文=編集部)

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