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83年6月10日付朝日新聞(東京版)記事『婦人団体が謝罪求む 紀伊國屋書店ブス文書問題』は、次のように報じている。
「労組は『雇用差別』『女性差別』と抗議、会社は一定の非を認め、文書を破棄処分にするにしつつも、『採用基準として使ったことはない』と譲らない」
「会社側は、労働省の行政指導もあって廃棄処分にしたが、『文書は四十七年(1972年)に人事担当者の研修会で出た意見をまとめたもので、これを女子社員の採用基準にしているわけではない。マル秘文書が外部に出たことは残念だ』と不満顔」
同記事によると、文書は各店舗・営業所に配布されていたという。内部資料だから、採用基準にはしていなかったというのは、苦しい言い分であった。
ただ、新聞やテレビが報道し国会質問にまで発展したにもかかわらず、出版社系の媒体ではほとんど報道されなかった。紀伊國屋書店が自社出版物の販売を取りやめることを恐れ自粛したのだろう。ちなみに、2013年に出版された『新宿で85年、本を売るということ 紀伊國屋書店 新宿本店 その歴史と矜持』(メディアファクトリー/永江朗)でも、事件には触れていなかった。
このような採用差別とはすでに決別したであろう紀伊國屋書店にとって、30年以上前の「黒歴史」をドラマ内で掘り返されたのは心外だったかもしれない。しかし、当時の女性が置かれた立場が露わになり、均等法成立のきっかけのひとつとなる歴史的な事件だったことは明らかだ。
同ドラマは、かつて女性に対する強烈な差別が横行していたことを思い出させてくれた、秀逸なドラマであった。
(文=岡本マルシ)
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