ココイチ廃棄カツ横流し事件、真相は闇のまま調査終了か…7割が身元不明の不気味さ
1月半ばに発覚した壱番屋廃棄カツ横流し事件を受けて環境省は3月14日、類似事件の再発防止策を発表した。しかし、今回の事件の全容解明が不十分なまま、つまり横流しに至った背景など、問題の全体像を把握できない状態での再発防止策は、水漏れを防げぬザル法になりかねないのではないか。
廃棄カツの横流しは、いわば正規食品への偽装の手口のひとつだ。そこで今回は、再発防止策の是非と共に「偽装の経済学」【編注1】の視点から事件の背景に迫ってみる。
「警察等による捜査」を阻む厚い壁
環境省の再発防止策【編注2】では、まず「警察等により捜査が行われているところであり、全容が明らかとなった段階で、現行の関係法令についてどのような問題があるか、その運用も含めて、改めて検証を行い、必要に応じて、今後の対応を検討」とした。ところが、その肝心の「警察等による捜査」だが、すでに厚い壁に阻まれている面がある。
今回、産廃処理業・ダイコー(愛知県稲沢市)から横流しを受けたみのりフーズ(岐阜県羽島市)の施設では、壱番屋以外の108品目の製品も見つかった。
それはびんちょうまぐろスライス(日本生活協同組合連合会)、今川焼き(ニチレイフーズ)、おさつ甘露(ニッセン)、たけのこ土佐煮(イオン)、インスタントみそ汁(マルコメ)、フローズンヨーグルト(ミニストップ)、豚バラ蒲焼(丸大食品)、糸きりごぼう(栗木食品)、串こんにゃく(関越物産)、炭火焼鳥モモ(フードリンク)、ハチミツ(岐阜養蜂)【編注3】など、実に多彩である。
ところが、この108品目のうちダイコーが廃棄物処理を依頼されたことがわかっている、つまり身元がはっきりしているのはその3割強の35品目しかない。しかも残りのうち調査継続中なのはわずか15品目にすぎず、それ以外は岐阜県による10都道県11市への調査依頼に対して、「調査不能」「追跡困難」「流出経路不明」の回答があり、すでに調査は終了【編注4】している。
つまり、これ以上はたとえ警察でも手の出しようがなく、異例の廃棄食品横流し事件の真相はこのまま闇の中に葬り去られる可能性が高い。
マニフェスト制度はザル法から脱却できるか
ともあれ、「今回の事案(廃棄カツ横流し事件)を未然に防げなかったことを踏まえ、現時点で対応可能な再発防止策に速やかに着手」として発表された、再発防止策について触れておく。