名古屋の外食産業の活発な勢いが目立っている。そのひとつ、ステーキ・ハンバーグレストランを展開する「ブロンコビリー」はこのほど、100店舗目となる新店舗を東京・足立区にオープンした。東海地区を地盤とする同社だが、関東地区にも積極的な店舗展開を図っている。
1978年創業の同社は、東海地区では確固たる地位を築いたことから、次はよりマーケットの大きい関東、そして関西に進出する時期と考えたことが積極出店の背景にある。関東初進出は2008年(昭島昭和の森店)で、6月6日現在、最も新しい鹿浜店を含めて東京に7店舗あるほか、千葉、神奈川、埼玉の隣県には計27店舗ある。
ブロンコビリーの特徴は、厚切り肉を炭焼きして提供するほか、大かまどを使って炊いたコシヒカリのご飯、そして常時約20種類の野菜・フルーツをそろえたサラダバーにある。家庭では味わえない料理とサービスを提供する「ご馳走レストラン」として多くの消費者の支持を得て、順調に業績を伸ばしてきた。実際に、売上高経常利益率は飲食業界のトップクラスを維持している。
こうした経営を支えるのが現場と経営陣が一体になった取り組みである。毎月1回、朝7時から地域別に取り組んでいる早朝勉強会では、社員が社長や役員の話をじっくり聞くほか、店舗経営の実務につながるテーマを設定して勉強に取り組み、経営の方向性を確認する。
このほか経営改革委員会では全社員を3つの階層に分け、毎月1泊2日の合宿を行って経営者意識を高めている。全社員が3カ月に1度、会長や社長と一緒に合宿を行う計算で、理念の共有や店舗での取り組みについて徹底的に話し合う。こうした取り組みによって常に社員は経営の方向性を確認している。
このほか、パート社員、アルバイト社員を含め、ステーキの本場であるアメリカで7泊8日の研修を行うほか、ホスピタリティー精神を学ぶべく、東京ディズニーリゾートでの研修も実施し、経営力の底上げを図っている。
ブロンコビリーでは01年のBSE騒動の際に多くの顧客が離れた苦い経験から、原点に立ち返ろうと前述の3つの特徴を店舗に順次導入し、業績が回復した。今後は20年に200店舗、23年には300店舗の達成を計画に掲げており、さらなる規模拡大を目指す。