日本経済団体連合会(経団連)が定めた採用活動の選考解禁日である6月1日が過ぎ、今年度もいよいよ就職活動が本格化した。解禁日が前年度よりも2カ月前倒しになったことで選考開始までの準備期間が短くなったため、学生からは「自己分析が十分にできない」「先輩のアドバイスが役に立たない」といった声が上がっている。
そんななか、最近の学生は選考時に“学歴採用”を行う企業を避ける傾向があるという。学歴採用とは、出身大学が選考結果に大きく影響を与えることで、偏差値上位の有名大学以外の学生は説明会にさえも参加できないといわれている。学歴が内定に響くというのは今に始まったことではないが、近年、出身大学で学生をふるいにかける採用方針は「学歴フィルター」とも呼ばれている。
そこで今回、多くの企業から新入社員研修を依頼されており、昨今の採用活動の動向に詳しい株式会社ヒューマンテック代表・濱田秀彦氏に近年の学歴採用の状況について話を聞いた。
人事担当者の意識が変化
「企業が採用時に学歴を見るというのは随分前からあったこと。むしろ、昔は有名大学とそれ以外の大学で面接日が分けられていたり、面接会場が違っていたりなど、露骨に学歴による区別が行われていました。ところが最近の企業は、表向きには学歴をあまり見ないというかたちをとっているため、学生側からは学歴フィルターがあるのかどうか、わかりにくくなっています」(濱田氏)
学歴フィルターは確かに存在するが、以前より隠すようになった企業が多いというのが実態のようだ。では、学歴採用を隠すようになった理由はなんだろうか。
「サービス業や耐久消費財を取り扱う企業は、落とした学生もその後、自社商品を買ってくれる可能性がある消費者となるので、できれば企業イメージを落としたくないのです。学歴を考慮することは違法ではありませんが、もし不採用の理由が学歴だったのならその企業へのイメージは悪くなります。そうした理由もあって、最近の企業は『学歴なんて関係ないですよ』というポーズをとっているのです」(同)
選考に落ちた時に届く通称“お祈りメール”がやけに丁寧なのも、企業イメージを損なわないためかもしれない。では、学歴の重要性自体は以前と変わりはないのだろうか。