「いえ、近年は本当に『学校のブランドなど当てにならない』と考える人事担当者が増えてきています。いまだに大手企業では大学名で足切りをされることも多いですが、中小企業では建前だけではなく、本当にほとんど学歴は関係ありません。仕事がきちんとできて成果を上げてくれるなら、どこの大学でもいいという考えなんです。それに、有名大学の学生だとしても、推薦入学や留学組のなかには基礎学力が低い人もかなりいます。ですから大学のレベルではなく、その学生個人にきちんと学力や一般常識が備わっているかという部分を重視するようになりつつあります」(同)
学歴以外の部分で勝負ができるというのは、ブランドである大学以外の学生にとっては願ったり叶ったりのはず。だが、当の学生たちはというと、そうした傾向に気づかず最初からあきらめてしまうことも多いという。
「最近の学生はSNSを活用して情報を集める人が多い。しかし、その情報には噂レベルのものもあり、本当は学歴フィルターなんてない企業だったとしても、『あの会社は学歴を重視している』とどこかで書かれていれば、たとえ噂レベルでもエントリーもせずに回避してしまいます。噂に惑わされずにチャレンジしてみれば、学歴なんか関係ないとわかりますし、他の学生が避けている分、倍率が下がっていて狙い目なのですが、もったいないですね。ですので、本当に行きたい会社であれば、誰が何を言っていてもあきらめずに受けるべきです」(同)
ブラック企業が問題となり、学生側も情報に過敏になりすぎているきらいがある。情報が確かかもわからずに、勝手に決めつけてしまうのは可能性を狭めることにもつながりかねない。
学歴を考慮せざるを得ない理由
学生がそこまで学歴採用を嫌っているのであれば、いっそのことエントリーシートに出身校欄を設けなければいいとも思うのだが、そう簡単な話でもないらしい。
「学歴を重視しない傾向が強まっているとはいえ、今のところは学歴を見る企業と見ない企業に二極化しています。学歴採用が正しいとは思いませんが、人事部には学歴を気にせざるを得ない理由があるのです。それは、採用活動や採用担当者の評価という問題です。新卒で入った学生が結果を残してくれるのは3年後といわれているので、その年の採用が成功かどうかはすぐにはわからないものですが、『わかりません』では話にならないので、どこの大学から何人採ったのかが評価の軸になってしまうのです」(同)