少子高齢化の進行、格差社会の拡大、女性の社会進出の増加といった社会状況を背景に、婚姻件数が減り続けている。厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2015年の婚姻数は63万5096組で、前年の64万3749組より8653組減少した。
婚姻件数は1972年の109万9984件がピーク。団塊世代が適齢期を迎えた時期だ。12年からは3年連続で減少し、ピーク時の58%の水準になっている。
婚姻件数の減少と共に顕著なのが、初婚年齢の高齢化だ。95年の平均初婚年齢は男性が28.5歳、女性が26.3歳だった。それが15年には男性31.1歳、女性29.4歳と晩婚化が進んでいる。
婚姻件数がピーク時の6割以下にまで落ち込み、初婚年齢がどんどん遅くなる。そこに待機児童問題、子供の貧困、奨学金問題などが加わる。このままでは負の連鎖に歯止めがかからない。
若者の結婚願望が大幅に低下
若者の結婚に対する意識はどう変わったのか。明治安田生活福祉研究所が16年3月に行った「20~40代の恋愛と結婚」というアンケート調査(3595人対象)によると、「結婚したい」と考える20代、30代が大幅に減少したことが浮かび上がった。
結婚願望がある人(「できるだけ早くしたい」「いずれしたい」の合計)は、20代男性が38.7%で3年前の67.1%から28.4ポイントの大幅減少となった。20代女性も59.0%で同82.2%から23.2ポイント低下した。30代は男性が40.3%で12.6ポイントのダウン、女性は45.7%で14.6ポイント下がった。
半面、「結婚したいとは思わない」が20代男性で20.3%、30代男性で24.7%と、3年前に比べそれぞれ9.1ポイント、7.9ポイント上昇。20代女性は17.0%、30代女性は24.3%で同じく10.4ポイント、9.5ポイント増えた。ちなみに40代女性では29%が「結婚したいとは思わない」と回答、結婚願望派の35%に迫る勢いだ。30代、40代の未婚女性の間では、結婚よりもキャリアアップ、おひとりさま(独身)志向が強まっているのだろうか。
20代、30代が「独身でいる理由」は何なのか。男性は「家族を養うほどの収入がない」が27.2%でトップ。次が「経済的に自由がきく」で16.2%だった。4人に1人が収入を原因に挙げている。女性は「結婚したいと思える相手がいない」が27.2%でトップ。このほか「精神的に自由でいられる」「仕事に打ち込みたい」などの回答が目につく。男性は経済力を気にし、女性は生き方を重んじているということか。