ニッセンは鈴木敏文氏の息子のオモチャ?
ニッセンHDは14年1月にセブン&アイHDの傘下に入った。セブン&アイHDの最高実力者、鈴木敏文会長(当時)がオムニチャネルを推進するために子会社に組み入れた。ネット通販と実店舗を融合させるオムニチャネル戦略を提唱する息子の鈴木康弘氏のために、ニッセンを買い与えたと陰口を叩かれた。
敏文氏は会長退任後、いくつかの媒体でインタビューに応じ、「息子を後継者にする気などなかった。後継者は決めていた」と繰り返しているが、信じる向きは少ない。
ニッセンHDの買収は完全に失敗だった。通販市場は急成長が続くが、牽引役はネット通販だ。アマゾンジャパンは膨張を続け、15年の売上高は前年比19%増の1兆円に達した。
「負け組」の代表がカタログ通販だ。ネット通販に浸食され、長期低落に歯止めがかからない。
セブン&アイHDは15年11月に通販サイト「omni7(オムニセブン)」を本格稼働したが、ニッセンの商品は扱っていない。ニッセンはオムニセブンから外されたのだ。ニッセンHDをグループから切り離すことを前提にした措置だとの見方をする向きも多い。
井阪氏がニッセンHDの解体に踏み込めば、“脱鈴木敏文”路線の第1弾となる。
(文=編集部)
【続報】
●ニッセンの再建に大なた
セブン&アイHDはニッセンHDを完全子会社する。完全子会社にするため、ニッセンHDの株式1株に対してセブン&アイHD株式0.015株を割り当てる株式交換を実施する。セブン&アイHDがニッセンHDを連結子会社にしたのは14年だ。TOB(株式公開買い付け)などで133億円を投じた。ニッセンHDは16年12月期の業績予想を開示しておらず、このためセブン&アイHDも17年2月期の連結業績予想は未定としている。完全子会社にしてカタログ事業の縮小や人員削減を進める。それでも業績が浮上しなければ、ニッセンHDの幕引きが一気に図られることになろう。
●バルスやバーニーズジャパンはどうなるのか
オムニチャネルの先兵として鈴木敏文・前CEOは、生活雑貨店「フランフラン」のバルスや高級衣料品店「バーニーズ・ニューヨーク」を運営するバーニーズジャパンを相次いで買収した。ニッセンHD同様、バルス、バーニーズジャパンもお荷物になっている。「100日を目安に、グループの構造改革計画を具体的に示す」と宣言した井阪隆一社長が、どういう順番でお荷物を降ろすことになるのかに注目が集まる。
●西武筑波店など2店の閉鎖を新たに検討
新たに閉店の対象になるのは西武筑波店(茨城県つくば市)と西武八尾店(大阪府八尾市)だ。17年2月に閉めて350人の希望退職を募る。2月に西武春日部店(埼玉県春日部市)を閉鎖し、9月に西武旭川店、そごう柏店を閉めることを決めているが、新たに2店がなくなる。そごう・西武でも人員の削減が行われることになる。